粗品のロケチャンネルは「細客」にも優しい? トリッキーな絡みをする一般人もエンタメに昇華する“芸人としての地肩の強さ”

 霜降り明星・粗品のYouTubeサブチャンネルが先月「粗品のロケ」として新たに大幅リニューアルを果たした。元々はゲーム生配信の切り抜きや雑談配信、ラジオ、ダイエットなどを投稿している自由なチャンネルだったのだが、6月11日に投稿された「粗品から重大発表」という動画にて、これからは「ロケ」が中心になることを発表。その名の通り、すべての企画を粗品自身が考案し自らの足で様々な場所へ赴く「しもふりチューブ」とも「粗品 Official Channel」とも違う粗品の魅力を味わい尽くせるファン必見のチャンネルとなった。

粗品から重大発表

 リニューアル後、初投稿となった吉本興業本社を訪れた動画から粗品はアクセル全開だった。まるで脳を介さずに直接口から出ているような速度で目に映るものすべてにキラーワードを放つ粗品はさながらブレーキの壊れたスーパーカー、檻から放たれた猛獣。誰も粗品を止めることはできないのか、と恐れおののいた。

 しかし、「粗品のロケ」の真価はこんなものではなかった。最大の魅力はなんと言っても「一般人との絡み」だ。粗品自身、一人のみのロケは「貴重」と話しているように、ただ街を歩いている映像だけでもかなりのレア映像なのだが、無作為に話かけてくる一般人も邪険にせず、写真撮影などに対応する粗品のスマートさに思わず見惚れてしまう。少しでも怪しい人物には「反社じゃないよね?」と確認を取るなどやや失礼だが危機管理も徹底。なかには「結婚式ムービーを撮るのに協力してほしいと言う集団」「娘とビデオ通話をしていると言っていきなりカメラを向けてくる女性」などといったトリッキーな絡みをする一般人も登場するのだが、まったく動じることなく余裕の返しで見事にエンターテインメントへと昇華させていた。

 カメラマンを担当している元アックスボンバーの中村元気との距離感も絶妙で、粗品と仲が良いからこそできる冷静なツッコミがなんとも心地良い。さらに「未来の粗品」と称したロケの様子をテロップでツッコむという斬新な試みも刺激的なアクセントとなっており、決して短くない数十分の動画も一瞬で消化してしまう。

渋谷で初対面の一般人に失礼な事を言う粗品【ブリッジを作ろう#3】

 これまで投稿された動画のなかで個人的に最も心に残っているロケが、粗品の太客(スーパーチャットの金額が多い視聴者)のなかでも最高年齢73歳のファン「吐息のハイハイハイ」(以下、吐ハイさん)の自宅に直接会いに行く、という企画だ。全3本立ての大型企画で、1本目はケーキが好きな吐ハイさんのために人生初の手作りケーキを作り、2本目は粗品自らが吐ハイさんの地元である千葉まで運転し道中で手土産を買い、3本目でようやく吐ハイさんと初対面した。

 実際に現れた吐ハイさんは、しもふりチューブが始まったころから欠かさず観ているほどのファンだとは言うものの、朗らかで上品な雰囲気を纏っており、その姿からはとても太客だと想像がつかない。しかし、「755」「インフォ」「カスコメ」「ハセシン」「CoD(コール オブ デューティ)」といった普通の73歳では知り得ないような言葉が自然と出てきたり、「最近の僕ってどうですか?」と意見を求める粗品に対し、名言「ファンはまわりに迷惑かけない盲目であれ」で返すなど、誰がどう見ても疑いようのない圧倒的な太客であることが証明されていた。絶対に太客を裏切らない粗品と、最大級のリスペクトを込めて接する吐ハイさん、まるで年齢の差を感じさせないやりとりに感動すら覚えた。芸人とファンとの交流を映した映像としてこれ以上ないほどの動画だった。

73歳の太客の家に行き感謝を伝える粗品【73歳の太客に会いに行く#3】

 「粗品のロケ」は「通勤・通学途中に観てもらいたい」という粗品の粋な計らいから、更新頻度は月・水・金曜日の週3回、朝7時に更新が予定されている。憂鬱になりがちな平日の朝を明るくしてくれる、金脈、太客、細客、カス、誰にとっても「希望」となるチャンネルだ。

粗品、借金2300万円を完済 多額の借入を瞬く間に返す「誰も真似できないコンテンツ」に

芸人兼YouTuberとして活躍する霜降り明星・粗品が、所属する吉本興業の系列金融会社である「よしもとファイナンス」からの借金を…

関連記事