つい観てしまう「ビフォーアフター」動画のトレンドが変化? TikTokの人気ハッシュタグ「#レベルアップ」から分析

 TikTokで人気の動画にビフォーアフターを見せるものがある。子の成長やダイエットの成功など、多くはよくなっていく様子、つまりレベルアップする過程を見せるものだ。現在そんな「#レベルアップ」というトレンドが根強い人気になっている。人気の理由を調べてみた。

 「#レベルアップ」はさまざまなジャンルとテーマで「何かをレベルアップさせていく」過程を見せるトレンドだ。レベル別の状態を動画や写真で撮影し、音源に合わせてテンポよく動画を展開していく。

@anriremi どこで道を踏み外したんだろう… Where did i step out of my life... IB:@Harold ♬ House of the Rising Sun - sourwing.WRLD

 人気のTikTokクリエイター「Remitan レミたん🥕🐴」もこのトレンドにぴったりの動画を投稿。2019年から2022年までの自身を振り返った。最初の3年はハンドボール選手として精悍な顔立ちで写った写真だ。しかし「どこで道を踏み外したんだろう……」とキャプションの通り、2022年はトゥワーク(しゃがんだ大勢でお尻を振るダンス)をする様子を映した。華麗なる“レベルアップ”を遂げている。

@tobias_krick Yes I’m really that tall #tall #height #foryou ♬ original sound - Tobias Krick

 ドイツ人プロバレーボール選手のトビアス・クリックは投稿で身長がぐんぐん伸びた変遷を見せた。スタート地点の10歳の時にすでに182センチだったことにも驚くが、その後も順調に成長し、12歳で192センチ、15歳で203センチ、23歳で213センチになっている。見た目からわかりやすい“レベルアップ”だ。

@angrybirds

we're going back to classic, baby!!!

♬ House of the Rising Sun - sourwing.WRLD

 スマホの普及とともに世界中で遊ばれたあのゲームはこのトレンドを逆手にとった。怒った表情の赤い鳥を飛ばして遊ぶゲーム「アングリーバード」の公式だ。「アングリーバード」は2009年のリリース当初からのキャラクターの変遷を見せた。少しずつリアルになり、立体化するキャラクターだが、最後に原点回帰のクラシカルなイラストを披露。リリース当初の元祖「アングリーバード」のゲームが帰ってくる告知をしている。

 レベルアップしていく動画であれば、どんなジャンルでも当てはまるトレンドだ。ほかにもヘアセットや部屋作りなどの“完成までの過程“、スポーツなどの“スキルが上達していく過程“、自分自身やペットの“成長記録“といった投稿が人気となっている。

 なかには整形のダウンタイムから完成形までを見せる動画や、保護猫がなつくまでを投稿した動画など、ユニークな動画があった。

 「#レベルアップ」のBGMによく使われているのは「sourwing.WRLD」というクリエイターが作った「House of the Rising Sun」という楽曲だ。レベル1は「クラッシュ・ロワイヤル」などのスマホゲームで有名なフィンランドのゲーム開発会社「Supercell」のサウンドロゴに似ている。それを2段階転調させ、最後にギターの音色を入れたオリジナルのサウンドだ。音が4つのかたまりに分かれており、4つの段階を見せやすい。

 「#レベルアップ」は2022年初め頃から流行し、現在も動画が投稿され続けている。人気が続いているのはTikTokで人気のあるフォーマット「ビフォーアフター」の動画に使いやすいからだろう。

 TikTokではかねてよりビフォーアフターの動画が多かった。次の動画に遷移されずに最後までユーザーに観てもらうためには、続きが気になる必要がある。ビフォーアフターの動画は、その後の姿を観たいと感じてもらいやすく、人気が根強い。

 定番化しつつも、昨今さらにトレンドが盛り上がっているのは、TikTokが新機能としてリリースした「フォトモード」を使うのに適したフォーマットだからだろう。投稿に適した動画がなくても、2枚以上の写真をアップロードすれば、スライドショーのような動画が完成する。「House of the Rising Sun」をBGMに使用して、写真を4枚アップロードすれば、トレンド通りの投稿が実現する。「フォトモード」と楽曲を実際に使用している動画を見ると、かなり使いやすそうだ。

手元に動画がない場合も簡単に人気のビフォーアフター動画を作れる。TikTok初心者にまずおすすめしたいトレンドだ。

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