ラトナ・プティが“憧れのヒーロー”と共闘を果たすまで にじさんじの冒険家が歩んできた旅路を振り返る
深い『Overwatch』への愛 “憧れのヒーロー”の影響で配信の世界に飛び込み、共闘が実現
「『Overwatch』に思い出がありすぎる」
これは2022年10月に『Overwatch』のコラボ配信をおこなった後に、ラトナ・プティが語った言葉だ。だるまいずごっど、ゆふな、渋谷ハル、常闇トワ、橘ひなの、うるは、アルス・アルマルといったFPS好きの面々とひとしきり楽しんだ後、初代『Overwatch』のサービス終了とともに現在の『Overwatch 2』へと移り変わることになった同作への愛をポツポツと語り始めた。
「何人の人たちに、友達に出会ったか。どれだけサークルクラッシャーと出会って、友達とさよならしたか。仲が悪くなったり、逆にいまでも仲の良い友達もできたし。学校にいきつつ(『Overwatch』)をやって、寝て、学校行って、帰って、また『Overwatch』やって、オールでそのまま学校行って。」
「にじさんじに入った時も、『あと1戦やったら動画送るか~』とか言ってさ。動画送って、にじさんじの合格通知が来るまで何も考えたくないから、『Overwatch』やって、受かったときも『Overwatch』やって。休んでた時も『Overwatch』やって。ボイス収録するときも『Overwatch』やって……」
「なによりも『Overwatch』を優先したからね? うちが前に(彼氏に)フラれた話ししたでしょ? 『Overwatch』のせいでフラれた(笑)」
父親と兄がPCでゲームをプレイしていた影響で、ラトナ・プティは幼少のころから2人と共にPCゲームをプレイしていたという。初めてプレイしたタイトルは『スペシャルフォース』で、父・兄とともに一緒にプレイしていたと振り返っている。
なお、プティの父親は、娘がライバーとして活躍しているのを知っており、「デスク周りにプティのグッズをたくさん置いている」とのことで、活動を応援してくれているそうだ。「リスナーさんが一般PCの理想を知りたいってコメントしてきたんだけど、普通のゲーマーならどんな感じ?」とLINEで連絡をすれば、しっかりと返信をしてくれるようなタイプの優しい父親のようだ。
そんな家庭事情が強く影響してか、プティは『PlayStation』や任天堂などのコンシューマ機にあまり馴染みが無いという、生粋のPCゲーマーとして育っていくことになった。
「(「ぷてちはニートだったことあるの?」というコメントを見て)あるよ。ニートで毎日ゲームしてた。寝て起きてゲームしてを繰り返してた。年単位とかではないけど、ちょっとのあいだね」
「うち配信してるのヤバイよ、普通に考えて。配信は絶対にしないって言ってたから。配信やりなよって言われてたけど、絶対向いてないと思ってた。いま(やっているのが)奇跡、人生なにがあるかわからないから」
配信の雑談中、このように赤裸々に語ったこともあるラトナ・プティ。もともと配信活動はしないと心に決めていた彼女を、ライバーの世界に引き込むことになった「ヒーロー」がいる。
愛知県出身の元プロゲーマーにして、日本屈指のFPS系ストリーマーとして現在も活躍する「関優太」だ。
ちょうど彼女がニートだった時期に流行していた『PUBG: BATTLEGROUNDS』(旧称:『PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS』)をきっかけに関優太を知り、当時彼とともにチーム「4BR」として活躍していたSPYGEA、SHAKA、YamatoNといった、DETONATOR所属ストリーマー(当時)の面々を知ることになった。
彼女が愛する『Overwatch』では当時国内屈指の実力を持っていた面々であり、とくにオンライン投票により国際大会『Overwatch World Cup 2016』において日本代表チームのキャプテンとなった関の存在は、何者にも代えがたい「ヒーロー」だったといえる。
2021年7月23日開催の第6回『Crazy Raccoon Cup Apex Legends』に出場した際、プティ・SPYGEAと共に出場する予定だったボドカが新型コロナウィルスに感染・出場辞退となってしまい、そこで関が代役として出場することになった。
その決定を朝方に突然知らされたプティは、関との顔合わせで“ド”が付くほど緊張してしまい、「ヘッドセットから声が聞こえた瞬間、泣いちゃった……」とうれし泣きしてしまったのだ。
関とSPYGEAが「自己紹介していきなり泣く人って今までいた!?」と焦っているが、この時配信を見ていた多くのリスナーはプティがどれほど彼らを敬愛していたかを知っているだけに、同じ気持ちだったはず。
配信者になる予定のなかったFPS好きの女の子が、日本随一のVTuber事務所からデビューを果たし、過去に類を見ないほどの人気を誇るFPS大会に出場、自身にとって憧れの存在である関優太やSPYGEAと共闘する。
まるで物語のような展開、ファンならば誰しもが武者震いしてしまうようなシチュエーションではないだろうか?