「看護師あるある動画」はなぜ人気? 天才ピアニストらのヒット動画から考察

 このように、「看護師あるある」が1つのコンテンツとして注目されているのは、視聴者が“看護師”という職業に「新鮮さ」と「共感性」の2つを感じるからだと考えられる。この2つの要素の塩梅がちょうどよく、結果的に中毒性のあるコンテンツへとなっているのではないだろうか。

 まず「新鮮さ」という点だが、看護師という職業は、生活するうえで身近に存在する職種ではあるものの、それと同時に患者の前では見せることのない一面を持ち合わせている職種でもある。医療現場で命を扱うシビアな現場ということもあり、看護師の人間性を感じるやりとりを見ることができる機会は少ないだろう。だからこそ、ナースステーションでの様子や休憩中の様子など、普段見ることのない看護師の一面を、再現というかたちで垣間見ることによって、馴染みがないからこその新鮮さを感じることができるのだ。

 また看護師という職種は、夜勤や採血、患者の受け入れなど、特殊なシチュエーションに置かれることが多い。そういった特殊な環境で働く看護師の姿を、動画を見ることで知ることができる。このような目新しさから、医療関係の職種ではない視聴者も「看護師あるある」に興味を示すのではないだろうか。

 次に「共感性」だが、天才ピアニストやあぃりDX看護専門学校など、「看護師あるある」を発信しているクリエイターに共通しているのが、実際の経験にもとづいた再現性の高い動画をつくり出しているということだ。

 病院勤務経験が10年ある天才ピアニストのますみや、実際に看護学生だった経験を持つあぃりDX看護専門学校、きりまるも、現実で体験した出来事をもとに「看護師あるある」「看護学生あるある」を発信している。

 「このくだりは本当にあるある」「リアリティがありすぎる」というコメントからも、現在医療職に勤めている視聴者から強い共感を得ていることがわかる。また、看護師以外にも調理師や管理栄養士、歯科医など、医療関係に近しい仕事をしている視聴者にも通ずるような“あるある”ポイントも散見され、共感の波は多くの人に広がっている。

 コロナ禍によって医療業界は注目を浴びることも多いが、こういった意外と知られていないリアルな現場を伝える“あるあるネタ”は、今後また違ったかたちで話題を呼ぶときがくるのではないだろうか。

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