発売30年の節目、シリーズ最新作の発売日決定と共に振り返って考える『スーパーボンバーマン』という象徴

 37年の歴史と人気を誇るアクションゲーム『ボンバーマン』。その最新作『スーパーボンバーマン R2』の発売日が9月14日に決定したと報じられた。

スーパーボンバーマン R 2 プロモーションムービー第1弾 | KONAMI (コナミ)

 それから約2週間半が経つ4月28日は、初代『スーパーボンバーマン』の発売から30年目となる日だ。

 初代『スーパーボンバーマン』はスーパーファミコン用のゲームソフトとして発売。その後『スーパーボンバーマン2』、『スーパーボンバーマン3』と続編がコンスタントに展開されていき、最終的には1997年発売の『スーパーボンバーマン5』まで、全5作が発売された。同じく『スーパーボンバーマン』の名を冠した番外作品、『スーパーボンバーマン ぱにっくボンバーW』も含めるなら全6作になる。

 2017年、Nintendo Switch本体の同時発売ソフトの1本でもあった『スーパーボンバーマン R』は、そんな『スーパーボンバーマン』の名を冠する完全新作として誕生した。しかし、筆者にはひとつの疑問がある。なぜ本作は『スーパーボンバーマン』の名を冠したのだろうか?

 ゲーム本編に登場する「凶悪ボンバー5人衆」を始め、キャラクターが共通する部分はあるが、設定はリセットされているため、過去作とはほぼ別物に感じられる。そのため、『スーパーボンバーマン』シリーズの流れを汲む新作と言われると、正直、首を傾げざるを得ないのだ。

 だが、名を冠した背景を推測できる確かな歴史は残されている。それは『ボンバーマン』のシリーズ全体、プレイヤーの視点双方から見ても、『スーパーボンバーマン』が史上最もナンバリングを重ねた象徴的な作品だったことである。

歴代シリーズの中で、最もナンバリングを重ねた『スーパーボンバーマン』

 1993年当時、小学館より刊行された『ハドソン公式ガイドブック スーパーボンバーマン』104~107ページ記載の「ボンバーマン誕生の瞬間」によれば、『ボンバーマン』というゲームはパソコン向けに開発された『爆弾男』が原形になったとされる。

 それにパワーアップシステムの追加、キャラクターデザインを可愛くするといったアレンジをくわえ、ファミリーコンピュータ(ファミコン)用のゲームソフトとして誕生したのが、1985年12月に発売された『ボンバーマン』であったと、『爆弾男』の開発者であり、当時発売元のハドソンに所属していた中本伸一氏は述懐している。

 そんな『ボンバーマン』にとって最大の転機となったのは、1990年12月に発売したPCエンジン版『ボンバーマン』である。ファミコン版にはなかった5人参加可能な「対戦モード」が導入され、パーティゲームとしての新たな個性を獲得するに至った。

 その後、1991年にファミコン版にも対戦モードを導入した続編『ボンバーマンII』、1992年にはPCエンジン版『ボンバーマン』の流れを汲む『ボンバーマン'93』が発売。『ボンバーマン』はシリーズ作品として歩んでいくようになった。

 『スーパーボンバーマン』は、時系列的には『ボンバーマン'93』の後に発売された新作で、『ボンバーキング』や『ボンバーボーイ』といった外伝、派生作品を含めれば『ボンバーマン』シリーズ全体の7作品目にあたる。

 1990年当時の主力ゲーム機だったスーパーファミコンで発売された『スーパーボンバーマン』は、ファミコンの『ボンバーマンII』では3人参加が限界だった対戦モードを4人参加可能にまで拡張。さらにそれまで1人専用だったストーリーモードこと「ノーマルゲーム」でも2人同時プレイを実現し、多人数参加型ゲームとしての発展を見せつけたのである。

 その後、『スーパーボンバーマン』がどんな展開を見せたかは前述の通りだ。

 一応、同じ1993年にはPCエンジン向けにも新作『ボンバーマン'94』が発売されている。だが、PCエンジンでは『ボンバーマン'94』を最後に直接の続編は発売されなくなり、以降は『スーパーボンバーマン』がシリーズの主軸として事実上、位置づけられることになった。

 プレイヤー視点から見ると、ここから『ボンバーマン』はどれが主軸で、どれを追えばいいのかが分かりやすくなったように思える。それまでの『ボンバーマン』は、複数のゲーム機で新作が供給される関係で、どれが主軸タイトルなのか分かりにくい側面があった。とりわけPCエンジンで展開された3作(PCエンジン版『ボンバーマン』、『〜'93』『〜'94』)は、それを物語る存在だったといえるかもしれない。加えて、どの作品でもボンバーマンの容姿は一緒。厳密にはグラフィックのテイスト、ストーリー設定などで違いはあるのだが、どれも主軸の作品であるように見えやすかっただろう。

 実際はどの作品も主軸であり、特にPCエンジンの3作は、パーティーゲームとしての礎を作り上げた点で重要なタイトルだったことに間違いはないだろう。しかし、プレイヤーから見れば、多重展開されるためにどれが最前線にいる作品で、どのタイトルを買えばいいものなのか分かりにくい。それをある程度ながら定めた点でも、『スーパーボンバーマン』の存在は大きかったといえる。1993年当時の主力ゲーム機たるスーパーファミコンで発売されたのも「これがシリーズの最前線だ!」と、プレイヤー側が理解しやすくなる一助になっただろう。

 さらにはそれまで、ナンバリングはファミコンの「II」止まりだったのも、1995年発売の『スーパーボンバーマン3』の誕生で更新され、次作『スーパーボンバーマン4』の発売で決定的なものになった。こういった単純な数字の重ね上げもまた、『スーパーボンバーマン』という名前をいっそう象徴的なものにしたと言っても過言ではないだろう。

 そういった歴史を辿り、シリーズの存在感を示したことからみても、『スーパーボンバーマン』というタイトルには特別な価値、ネームバリューがあった。当時、この展開と光景をリアルタイムで追っていた世代の目から見ても、「『ボンバーマン』と言えば『スーパーボンバーマン』」というぐらいの存在感を放っていたように思うのだ。

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