編集ミスで人気YouTuberにヤラセ疑惑が浮上 釈明からみえた編集の凄みと大切さ
3月5週目、人気YouTuberきょんくまの動画にヤラセ疑惑が浮上、きょんくまが急遽謝罪動画を公開した。編集ミスが原因で生じた疑惑だったが、なぜこのような事態になったのか。今回は、きょんくまのヤラセ疑惑と謝罪内容を踏まえ、YouTubeにおける編集の凄さと大切さを考えてみたい。
きょんくまは、学生時代からの友人である「きょん」と「くま」を中心としたYouTuberグループ。身体を張った企画やドッキリをはじめ、ダンスやアクロバットなどさまざまな企画動画を制作しており、メインチャンネルの登録者数は159万人にのぼる人気ぶりだ(4月5日時点)。
そんなきょんくまの動画に対し、一部視聴者から“ヤラセ疑惑”が浮上。きょんによると、3月16日に投稿した動画内で使用したルーレットについて、視聴者から「(項目数が)明らかに数が少ないシーンがある」といったコメントがいくつか寄せられたという。問題となった動画は、きょん・くまとほかメンバー2名が2チームに分かれ、ルーレットで当てた武器で100枚重なったダンボールを掘り進めるというもの。
撮影開始から途中までは、15個の武器が書かれたルーレットが使われていたのだが、動画前半のきょんがルーレットを回すシーンで、突如5つの項目しかないルーレットが映し出されたとのこと。問題のシーンを確認してみると、きょんが回したルーレットの項目数は5個、きょんの直後にルーレットを回したメンバーの項目数は15個。明らかにきょんのルーレットは項目数が少ないことがわかる。
なぜこのようなことが起こったのか。きょんはこの問題シーンについて、「単純なる編集ミス」と話す。公開されている問題の動画は約19分ほどのものだが、撮影は2時間程度を要したといい、その裏では撮影が長時間におよぶことを避けるため、開始から1時間後に急遽ルーレットの項目数を減らす動きがあったことを明かしている。ルーレットの項目数を途中で減らすことについては元の動画でもしっかりと説明されており、動画を最後まで見た視聴者であれば、ルーレットの項目数に変更が生じていたことはわかるだろう。
きょんによると、この動画撮影には正面から撮影するカメラのほか、左右から撮影するカメラが1台ずつ、さらに音声を録音するためのカメラ、ルーレットを映すカメラと、複数台のカメラが使われていたという。編集時には、複数台での撮影データと、カットした画像を組み合わせて1本の動画にするため、誤って後半部分のルーレット画像を前半部分に入れ込んでしまったことが疑惑の原因と説明している。
このミスを正しく理解してもらえるよう、動画では編集画面を見せながら疑惑を釈明。きょんは編集画面を見せながら説明したことについては、「動画1個1個の信頼だったり、どこまで本気でやっているかというのはすごい大事なこと」という考えがあると述べている。
撮影時間が長くなればその分素材が増え、編集にも時間がかかるYouTube動画。視聴者にとって面白くわかりやすい動画や、“ちょうどよい”尺のコンテンツを制作するには、使用していない場面も相当数あるだろう。さらにきょんくまのメインチャンネルは週に5〜6本ほどの動画が投稿されており、この投稿数を考えると、編集者を含めかなりのハイペースで動画を制作していることは想像に難くない。
たった数秒の動画も編集次第で面白いコンテンツになり、さらにはバズる可能性もある時代。それだけ動画のキモとなる工程であるものの、編集がどのように行われ、どのくらいの時間を要するのかは視聴者に伝わりづらい部分かもしれない。しかし、だからこそ編集は誤解を招かないよう、全YouTuberやスタッフが細心の注意を払わなければならない、大切な工程といえるだろう。