Amazon Musicのポッドキャスト制作スタジオ 「Wondery」が日本で始動 コンテンツ責任者が語る“ポッドキャスト市場への影響”

責任者が語るAmazon Music

長時間ドライブする慣習がない日本でもポッドキャストは流行る

ーー現在の日本におけるポッドキャスト市場の現状をどのように捉えていますか? また、Amazon Music/Wonderyとして、今後挑戦していく市場について教えていただけますか?

柴田:実はAmazon Musicにおける日本のポッドキャストリスナーは、2022年の1年間だけでこれまでの約2倍に増えています。ただ、ポッドキャスト先進国であるアメリカと比べると、その成長規模はまだ4分の1程度に過ぎません。

 Wonderyは世界各国でポッドキャストビジネスを展開してますが、各国同じような成長プロセスを辿っています。つまり、ドイツやイギリスなどもアメリカを追いかけるようにポットキャストのサービスは成長しているんです。そのことを考えると、日本もまだまだ成長の余地は残されているはずなので、日本オリジナルのコンテンツを多様な選択肢とともに供給していき、ポッドキャストを楽しんでもらえれば、その数も今後増えていくだろうと期待しています。

ーーでは、現状の日本のポッドキャスト市場にはどんなコンテンツが不足していると思いますか?

柴田:まさに『ビジネスウォーズ』のようなコンテンツなのではないかなと思いますね。『ビジネスウォーズ』は非常に綿密なリサーチに基づいて台本を開発しているだけでなく、なおかつサウンドデザインも含めて非常に作り込まれたものになっています。なので、これから日本でも聴きごたえがあるコンテンツがひとつの選択肢になり、たくさんの人に聴いてほしいと思っています。

ーーさきほど世界各地で同じようにポッドキャスト市場が成長しているという話が出ましたが、ひと昔前までは「アメリカのように長時間ドライブする慣習がない日本ではあまりポッドキャストが流行らないと」いうことも言われていました。しかし、コロナ禍のステイホーム期間で日本におけるかつてのその定説も変わったと認識しています。その時期を経たいま、日本のポッドキャスト市場はさらに成長していく可能性はありますか?

柴田:将来のことに関しては具体的なことはわかりません。ただアメリカ以外の国、たとえばドイツやメキシコ、イギリスなどで需要が高まったことを考えると、アメリカにおけるドライブ時の需要だけがポッドキャストの成長要因だとは言い切れないと思います。個人的にはポッドキャスト需要の増加を支えているのは、“コンテンツの充実”だと考えています。やっぱり、リスナーが聴きたいと思う多様なコンテンツが用意されてるということが重要だと思いますが、日本ではまだポッドキャストの魅力が伝わりきってないように思います。だからこそ、そこの部分で我々が努力していく必要があると考えています。

 また、先ほどの話の通り、たしかに日本の都市部は車社会ではありません。しかし、逆に都市部では車の代わりに電車に乗られる人が多く、電車の中の隙間時間にスマホを触っている人は非常に多い。また、実際にポッドキャストはスマートフォンで聴かれることがほとんどです。通勤時間にスマートフォンを利用している人にポッドキャストを聴いていただければ、今後、日本でのリスナーは増えていく可能性は十分にあると考えています。

ーーポッドキャストの良さのひとつは、自分が好きなタイミングで、ほかの作業と並行して聴くことができるところにあると思います。ただ、“ながら聴きする”という習慣は没入感のあるコンテンツを制作するWonderyからするとあまり好ましくない習慣ではないのでしょうか?

柴田:一口にながら聴きと言っても、いろいろなながら聴きがあると思っています。確かにWonderyのコンテンツは集中力が必要となる仕事をしながら聴くのには向かないものもあるかもしれません。たとえば、ジョギング、あるいは掃除をしているときなどの時に聴くのであれば、その邪魔にはならないと思います。そう考えると、電車で移動しているときにポッドキャストを聴くことも“ながら聴き”ですし、シチュエーションは本当にさまざまですね。

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