映像制作、ノスタルジー空間……まだまだ深く広いVRChatの世界。そして周央サンゴは志摩スペイン村に人を呼ぶ
「ハリー・ポッター」シリーズの世界を描く新作ゲーム『ホグワーツ・レガシー』が大きな好評を得ている。ゲーム内容そのものも秀逸ながら、なにより壮大な魔法界の世界を、驚くほど精巧に描くビジュアルがとりわけ好評だ。一度でも「ハリー・ポッター」の世界に行きたいと思った人にはマストバイであるという評価も見られる。
ここまで作り込まれた世界となれば、いっそVRで完全に没入したいという人もいるかもしれない。PlayStation 5対応の本作が、まもなく発売を控える『PlayStation VR2』に対応するかは不明だ。
しかし、すでに有志の手によってVR対応MODが登場しているようだ。公開された映像では、VR視点でホグワーツの中を自由に探索している様子がうかがえる。気になる人は、VR化MODを手掛けるコミュニティ「Flat2VR」の動向をチェックしてみるとよいだろう。
『ハリー・ポッターと賢者の石』が発表されたのは1997年だが、90年代もいまやノスタルジーの領域に差し掛かりつつある。そんな90年代ノスタルジーを、メタバース上に再現する動きが生まれるかもしれない。
東映アニメーションのバーチャル空間事業「ONN’ON STUDIOS」は、2月9日に「ノスタルジア1999」という仮想空間を『VRChat』上にオープンした。「1999年7月のある日本の六畳一間」というコンセプトの空間を、訪れたユーザーは小人スケールで探索することができる。東映アニメーションの作品グッズや、MDや「シゲキックス」などの懐かしいアイテムなどが所狭しと置かれており、当時学生だった人には”刺さることだろう。
往年のAV機器やIPがそのまま現れるこの空間や、ソニーほか様々な企業の協力のもと制作されていることが、クレジットからうかがえる。大手企業によるメタバース参入における、「自社コンテンツやIP活用」が活きている事例とも言えそうだ。今後は、部屋に置かれたブラウン管テレビでアニメ作品を楽しめる機能も追加予定とのことだ。
こうしたノスタルジーを喚起する空間は、当時を知る世代にはなつかしさをもたらすが、知らない世代には新しさや刺激を感じさせることもある。ある意味では「ターゲットの広い」戦略となるかもしれない。
一方で、メタバースの先端では「映像制作」が注目を集めつつある。全編を『VRChat』にて撮影した映像作品は、長編・短編問わず生まれつつある。古くは『Second Life』でも見られたバーチャル世界発の映像作品は、VRやフルトラッキング技術の普及によって、さらに進化し、洗練されつつある。
2月11日には、『VRChat』で撮影された映像作品を取り扱うアワード「VRCムービーアワード」の授賞式が実施された。エントリー作品は計62作にも上り、ここから様々な部門で受賞作が発表された。対象作品は国内クリエイターのものが多い。裏を返せば、国内クリエイターだけでアワードが開ける規模になっている、ということだろう。
気鋭のクリエイターたちによるノミネート作品は、「VRCムービーアワード」のYouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/@vrcmovieaward/playlists)にてプレイリストが作成されている。多様な『VRChat』カルチャーの中でも、クリエイティブにあふれる一端をぜひ感じてほしい。
ところで『VRChat』では先週、メニュー表示などの多言語対応が予告された。対応言語の中には日本語もふくまれており、ついに英語オンリーの『VRChat』のハードルが下がるのではと期待されている。最初は機械翻訳結果をそのまま実装するらしく、ちゃんとしたUIにはまだ遠いかもしれないが、「英語しかない」という理由で敬遠していたユーザーを招くには十分なアップデートとなりそうだ。