なぜYouTuberたちは飲食業界に進出するのか 背景にはYouTubeの収益減少が影響?

 1月5週目〜2月1週目にかけて、ラファエルがプロデュースするカレーパン屋に関する動画がYouTubeの急上昇にランクイン。売れ行きもよいというラファエルのカレーパン屋だが、一体なぜYouTuberたちは飲食業界に進出するのか。今回はその理由を考察する。

 ラファエルがカレーパン専門店「小麦の禁断症状」の1号店を麻布十番にオープンしたのは、2022年8月のこと。自称「カレーパン好き」なラファエルだが、カレーパン好きが高じて出店したのがこの店舗だ。オープン当初は人気YouTuberのてんちむやぷろたんなどが応援に駆けつけ注目を集めていた。

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 今回は、焼肉店「牛宮城」の試食会での正直な意見が大きな話題を集めたヒカルが、ラファエルプロデュースのカレーパンをレビュー。「美味い」を連発するヒカルは、商品のクオリティの高さに「頂戴よ店舗」「正直想像以上」とコメントしている。ラファエルいわく「命かけて作った」というカレーパンのメニューには、麻布十番という土地柄を考慮し、食べ歩きしやすい棒状の商品やYouTuberのネタ用に開発したという激辛商品もあるという。

 すでにフランチャイズもあり、店舗の客層に合わせ塩分濃度を変えるなど、戦略もしっかり考えている模様。気になる売り上げについてラファエルは、「月は300万ぐらい」と明かしており、利益率を10%として計算すると、手元に残るのは約30万円。今回の動画でオリジナルのクラフトビールを作り、今後店舗で販売することを発表していることから、利益はより上がっていきそうだ。

 YouTuberの飲食業界への進出を考えると、ヒカルの大分県発祥の外食チェーン「ジョイフル」とのコラボや実業家の堀江貴文氏とタッグを組んだ餃子専門店がある。とくにジョイフルは第1弾のハンバーグを皮切りに、唐揚げやハンバーガーなど次々とコラボ商品を発表。この「ヒカル考案 冗談抜きで旨いシリーズ」の累計販売数は、昨年12月には600万食に達したという。

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 しかしなぜYouTuberたちは飲食業界に進出するのか。そこにはやはり、最近話題となっているYouTubeの収益減少が関係しているようだ。昨年11月に令和の虎CHANNELで投稿された動画に出演したラファエルは、「YouTuberという、そこ(YouTube)で収益を上げて稼ぐっていうビジネスモデルはそのうち終わると思っている」と述べている。さらにこの動画でラファエルはカレーパンについて、ずっと昔からあり、「流行ることもなければ下火になることはない」と発言。長期的に安定して稼げる商品であるという見込みから、事業を立ち上げたことが読み取れる。

 YouTubeの収益は、ラファエルやぷろたんなどが「下がった」と明かしている一方、ヒカキンは再生回数が絶好調だった2年前の2020年と比較しても、2022年の広告収益が増加していたことを暴露。ヒカキンの発言から、YouTuber全員の収益が減少しているわけではないことが立証された。しかしながら、YouTubeの収益や企業案件が主な収入源となるYouTuberが、この不安定といえる2つ以外の収入の柱を欲することは自然なこと。ラファエルやヒカルも含め、今では多くの人気YouTuberが自身がプロデュースするアパレルブランドやコスメブランドを持っており、複数の収入源を確保するのは当たり前のことになっている。

 ラファエルの発言を振り返ると、すでに一定の人気と知名度をつけたYouTuberたちにとって飲食業界への進出は、アパレルやコスメプロデュースに続く、新しい収入の柱としての側面があると考えられる。もしかしたら今後は、さまざまな人気YouTuberたちが続々と飲食業界に参入していくという展開が増えていくかもしれない。

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