まるで『メタルギア』? アメリカ海軍がダンボールを使用してAIロボットの監視を欺く訓練を実施
人気ゲーム『メタルギアソリッド』シリーズでは欠かせないアイテム、ダンボール箱。主人公のスネークは作中でもしばしばダンボール箱をかぶることへの想いを語っており、まさにシリーズのなかでもっともアイコニックなアイテムである。そんな「敵の目を欺く最高の偽装」であるダンボール箱だが、このたびアメリカ海軍が実際にダンボールを使用した訓練を成功させたようだ。
経済誌The Economistの編集者であるShashank Joshi氏は、来月発売される“AIの軍事利用”に関する本の1ページをTwitterにて紹介している。
Joshi氏が投稿したページには、本の著者であるPaul Scharre氏によるエピソードが書かれている。Scharre氏によると、米軍は海軍を使用し、AIロボットの人間感知アルゴリズムを改善しようと試みたようだ。海軍は数日間AIロボットの周辺を歩き回り、そのデータを使用してAIに人間の動きを学習させていたと記載されている。
AIロボットに学習させたあと、海軍はAIに感知されずにロボットに近づけるかを試してみたようだ。具体的には、ロボットを環状交差点の中心に配置し、「最も遠い距離からロボットに近づけた人が勝ち」というゲームを開始したところ、参加した8人全員がロボットにバレることなく近づけたと紹介されている。
300メートル先から前転をしながら近づいた者、そしてモミの木の枝を数本掲げた状態で、木のフリをして笑顔でロボットに近づいた者..... どの軍人もAIには人間だと判定されなかったようだ。
極めつけには、ダンボールの箱に2人で一緒に入り、まるでスネークのようにロボットに近づいた軍人たちもAIに感知されなかったと記載されている。2人は箱のなかで、ケラケラと笑いながらAIロボットに近づいたよう。
Scharre氏によると現時点でこのAIは、前例のない不思議な行動をしながら近づく人を、“人間”として判定できないようだ。軍人がダンボールに隠れながら移動する日がくると、誰が予想しただろうか。