いま「結ばれない」恋愛が支持される理由とは? 芸能人夫婦の結婚生活を描く『わた婚』プロデューサーに聞く
「結婚するまで」ではなく「結婚してから」を描いたわけ
--2021年7月にスタートした『わた婚』は、ABEMAのなかでも異質な番組ですよね。
吉澤:F1層向けの恋愛番組のアイデアを探しているなかで、韓国の国民的大ヒット番組『私たち結婚しました』(MBC)に出会いました。韓国版は仮想バラエティ番組として、長期間結婚生活を送った夫婦などもおり、レギュラー放送されていた番組でした。一方でABEMAでは1シーズン10話で終わりを迎えると決めてから、期間限定の結婚生活で夫婦の関係性がどのように変化していけば面白いか? 試行錯誤しながら、細やかなリメイクを入れつつ番組を作っていきました。
--F1層向けの恋愛作品を作るにあたり、「付き合う」ではなく「結婚」をテーマにした理由はあるのでしょうか。
吉澤:F1層にとって結婚はかなり大きなライフイベント。結婚するにしてもしないにしても、20代〜30代の間にみなさん一度は向き合うテーマだと思うので、F1層の方に親近感を持っていただきやすいということが大きいです。また、夫婦・結婚がテーマになることによって、駆け引きだけじゃない関係性を描けるということもあります。恋愛番組は、結ばれるまでをゴールにしたものが多いので、どちらかが困難にぶち当たった時、どう乗り越えていくか? 足りないところを、どう補い合っていくか?など、夫婦としての関係性をメインにした恋愛番組はあまりなかったのかなと思います。
ーー多様性を求める時代への移り変わり、そのなかで起きたコロナ禍と、ここ数年で人々の恋愛観は大きく変化したと思うのですが、それに対してどのようなアプローチをしていこうなど考えていることはありますか?
吉澤:恋愛の形に変化はありましたが、恋愛の根底にある「心と心の繋がり」に関してはずっと変わっていないのかなと感じています。心が動く瞬間、繋がる瞬間を捉えて、その瞬間を丁寧に描いていきたいと思っています。
ーー最後に、今後のABEMAの恋愛番組でチャレンジしたいことを教えてください。
吉澤:これまで10代・F1層向けに様々な恋愛番組を展開してきましたが、それらを引き続き何年も楽しんでいただける、愛される番組に育てていきたいと思っています。少し前までは、恋愛番組自体が珍しいものでしたが、いまはたくさんの作品が生まれているからこそ、これからは恋の落ち方だったり、心の対話だったり、それぞれの作品独自が持つ良さを繊細に描いていけたらと思っています。また、より多くの視聴者の皆様にABEMAの恋愛番組を知り楽しんでいただけるような、新たな作品にも挑戦していきたいと考えています。
■『私たち結婚しました 4』 概要
韓国で2008年から約9年間レギュラー放送された国民的大ヒット番組『私たち結婚しました』を日本版にリメイクした、「ABEMA」オリジナルの結婚モキュメンタリー番組。1月6日(金)に最終回を迎えたシーズン4では、久保田悠来と貴島明日香、瀬戸利樹と紺野彩夏の2組の夫婦が結婚生活を送った。
最終回URL:https://abema.tv/video/episode/90-1741_s1_p10