85歳の後期高齢者VTuber・ひろこと孫が語る動画制作の裏側 「ウルトラマンより活動時間が短い」

 OTAGROUP株式会社は2022年12月、「メタばあちゃん」と銘打ったプロジェクトを始動。85歳の世界最高齢VTuber・ひろこ(@meta_grandma)がデビューした。アバターはピンク色の髪をした可愛らしいビジュアルをしているが、声は加工されておらず、おばあちゃんの声をしている。あまりに秀逸なVTuberの誕生の反響はすさまじく、チャンネル開設から1ヶ月絶たずに登録者数は3万人を突破した。

【新人Vtuber】初めまして、メタばあちゃんのひろこ85歳です【自己紹介動画】

 ひろこのデビュー自体も衝撃的ではあるが、同社は新メンバーオーディションの開催も発表。「75歳以上の方」「女性の方」「日本在住の方」というハードルが高いのか低いのかよくわからない募集要項を設け、ニュースターの発掘にも着手している。

 気になるところだらけであるため、ひろこと“バカ孫”こと同社の代表取締役を務める下西竜二さんに話を聞いた。

メタばあちゃんはドロドロした”恋愛韓国ドラマ”が好き

――まず、ひろこさんがVTuberになるまでの経歴を教えてください。

ひろこ:若い時は砂糖やメリケン粉の卸問屋で、20~30キロの荷物を担ぎ、パン屋さんやお菓子屋さんに運んでいました。ただ、身体的に厳しくなり、55歳で退職。1~2年間はゆっくり休んだ後、飲料メーカーの工場で70歳まで働いていましたね。

――70歳以降は働くことはなかったのですか?

ひろこ:はい。いまは膝が痛くなったため、負担がかからない運動として、午後はプールに通っています。その後は韓国ドラマを見ることが日課です。

――韓国ドラマが好きなのですね。

ひろこ:最近の日本のテレビは正直わかりません。海外の作品なら日本の流行を知らなくても視聴できますから。なかでも韓国ドラマは執念深いドロドロした恋愛ものが多く、私好みの作品ばかりで特に好きです。

――オススメの作品はありますか?

ひろこ:いまは思い出せません……(笑)。オススメの作品などあれば教えてください。

メタばあちゃんの誕生の裏に秋元康の影響あり

――今回、VTuberとしてデビューした経緯を教えてください。

下西:芸能事務所のTopCoatの代表取締役を務める渡邊万由美さんが設立した渡辺記念育成財団が実施する、クリエイティブプロデューサー を育成するための塾「みらい塾」に通っていました。ひろこに協力してもらい、メタばあちゃんのサンプルを作って発表したら、とても周囲からの評判が良かったんですよね。それで「ちゃんしたプロジェクトとしてやってみよう」と思い、始めました。

――なぜみらい塾に通っていたのですか?

下西:みらい塾の講師に秋元康先生がいたからです。私は「AKB48が好き」というよりは、秋元先生が手がける企画やコンテンツが好きな“秋元康先生オタク”なので応募しました。

――秋元さんと実際にお話しする機会はあったのでしょうか?

下西:秋元先生の前でプレゼンする機会がありました。「バーチャルヒューマンにアイドルをやらせる」という企画のプレゼンだったのですが、「それは誰もが考えそうなことだよね?」「それだと資本力勝負になるから、誰もやらないことを考えたほうが良い」とアドバイスをいただきました。

――憧れの人からのアドバイスは効きそうですね。

下西:そうですね。オリジナリティの必要性はわかっていたつもりでしたが、秋元先生から直接言われてハッとさせられました。それからはオリジナリティや差別化を意識して考えるようになり、ふと「メタバースをやるおばあちゃんで“メタばあちゃん”って面白いかな?」というダジャレからこの企画を思いつきました。

――孫である下西さんからVTuberになることをお願いされた時の心境は?

ひろこ:正直何を言っているのかよくわかりませんでした。ただ、「孫のためになるなら」と引き受けました。

――ちなみに、ひろこは本名ですか?

下西:違います。本名は個人情報ですので、なにかの詐欺被害に遭うかもわかりません。80代で多い名前を調べた際、一番しっくりきたのがひろこだったので採用しました。新メンバーに関しても、同様の方法で名前を決めようと考えています。

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