クレイトスは”究極の不器用で優しいお父ちゃん” 声優・三宅健太が『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』主人公に感じた、子を持つ父としてのシンパシー

三宅健太氏インタビュー 『GOW ラグナロク』を語る

――本作は北欧神話における終末の出来事が題材となっており、ストーリーは重めだと思うのですが、三宅さんの感想はいかがでしょうか。

三宅:今作の『ラグナロク』に関しては、前作から続く親子の物語にもある種の決着がつくところもあって、「クレイトスがものすごく翻弄されるストーリーだな」と感じています。前作も前作で翻弄されてはいるんですが、今回はアトレウスがさらに自立していく物語でもあるので、もちろんストーリーとしては重厚だし、彼を送り出す過程も濃厚に描かれている作品なので、親目線で見ると一抹の寂しさは感じます。

この1歩を踏み出して未来があるのか、破滅に向かうのか。アトレウスも神になるのか、悪魔になるのか。といった両極端な選択肢にもすごく翻弄されますし、今作では「本当にこのこの選択で良かったのか」という会話も多いです。ただ、世界の終末ももちろん大事だけれど、やっぱり息子のことがどうしても気になるというところは、比重として大きいというか……僕は9割そのつもりでいます。

ゲームの端々でもクレイトスがアトレウスに「お前が生きてくれていれば、それでいいんだ。ほかには何も望まない」というようなことを言いますが、そこは一貫していますね。クレイトスにとって、世界の命運うんぬんというのは、やっぱり息子を送り出してからの物語なわけで、いかにアトレウスを守るか、育てるかというところにウェイトがあるので、世界のどこよりもアトレウスという目線になりますね。

――三宅さんは、クレイトスのような強い男になるにはどうすればいいと思いますか。

三宅:僕が聞きたいですよ(笑)。クレイトスは確かに強いですよ。戦いは。でも、父としてはそんなに強くはないんですよ。彼は『ラグナロク』で前作以上に、アトレウスをはじめ、いろんな仲間に自分の苦悩や葛藤をちょいちょい出していくんですよ。その結果、いろんなことが解決したり、進む方向が見えるんです。

ということは、たとえば体を鍛えたり、いろんな知識をつけたり、クレイトス目線で言えば、武力をつけたりすることも大事なんでしょうけど、強い人は自分の弱さを言葉にできるんですよ。それを人に伝えて、自分の弱さを誰かと共有して、解決策や道筋を見つけていく。結果的には、そういうところが強いんじゃないですかね。

クレイトスは究極の不器用で優しいお父ちゃん 声優・三宅健太が『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』主人公に感じた、子を持つ父としてのシンパシーの画像3

――周りに仲間や支えてくれる人がいることが大事だと。

三宅:クレイトスは自分の弱さを隠すのではなく、仲間や家族にちゃんと言える。そんな気がしますね。実際に演じていても、物語ではクレイトスがどんどん前に進んでいるんですよ。僕は1番できないかもしれないです(笑)。難しい。その要素を見せることによって相手に無用な心配をかけるというリスクもありますし。人に弱さを言える、そして頼ることができるようになれば、本当に強い人になれるんじゃないかな。

そういえば、旅の案内役のミーミルもそうですね。ずっと世話を焼いてくれて、いっぱいおしゃべりしてくれるから、ふさぎがちなクレイトスが徐々に感情を出してきますし。なにより、アトレウスとぶつかり合うことで、親子としての新たな道を一緒に見つけていきますからね。自分で言っていて、心が痛いです(笑)。そうありたいですよね、本当に。でも僕もクレイトスの声をやらせていただいているので、そういうところも善処して生きていきたいとは思います。

――クレイトスはどこまでいっても、人間くさいところがあるんですね。

三宅:前作と今作で、本当に人間くさくなりました。だから今回の『ラグナロク』は本当に 、“人間・クレイトスの旅”と言っても過言ではないのかもしれない。 そこはプレイしたみなさんが感じていただくことだと思うのですが、僕はちょっとそんな風に思ったり。

――ありがとうございます。では最後にプレイヤーの方に向けて、今作のどういったところを1番楽しんでもらいたいですか。

三宅:もう全部楽しんでもらいたいですよ。楽しめない場所はないと思っています。本当に物語は重厚だし、キャラクターたちのやり取りも本当に生々しく作られていますから。戦闘では前作同様、斧は投げますし、槍も使いますし、鎖が強くて爽快ですね。ユーザーさんによって楽しみたいところは違うと思うんですけど、戦闘も熱く楽しめますし、ボリュームのあるストーリーも楽しめるし、「自分で選択をしていきたいんだ」という人も、自分で選ぶ局面が多々ありますから。

どこでも楽しめるのが魅力なので、すべてを楽しんでください。本当に1個じゃないです。僕個人としては、アトレウスやいろんな大事な人たちに囲まれているクレイトスを見てくれたら、すごく嬉しいですね。どこか孤独だったクレイトスが今回の『ラグナロク』で新たなチームや家族に囲まれて物語を歩んでいる部分が色濃くでているので、ぜひ注目してみていただきたいです。

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