メタバースの“クリエイターエコノミー”創出に必要なものは? 「バーチャルシティガイドライン ver.1.5」が発表に

メタバースの“クリエイターエコノミー”に必要なもの

 KDDI、東急、みずほリサーチ&テクノロジーズ、渋谷未来デザインで組成している「バーチャルシティコンソーシアム」が、11月8日にメタバース/都市連動型メタバース業界の発展に向けた「バーチャルシティガイドライン ver.1.5」を発表した。現在開催中のクリエイティブコンペティション『SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2022』のプログラムの一つとして、同日『バーチャルシティコンソーシアム ver.1.5 中間報告発表会』が開かれた。登壇者は下記の5名。東急の渡邊氏はオンラインでの参加となった。

・上田泰成氏(経済産業省 商務情報政策局コンテンツ産業課 課長補佐)
・川本大功氏(KDDI株式会社 事業創造本部 LX戦略部 兼 Web3事業推進室 エキスパート/慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 特任講師/経済産業省 大臣官房臨時専門アドバイザー/バーチャルシティコンソーシアム アドバイザー)
・渡邊彰浩氏(東急株式会社 沿線生活創造事業部 エンターテインメント戦略グループ 兼 フューチャー・デザイン・ラボ 主査)
・阿部一郎氏(みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社 戦略コンサルティング部 SX/DX戦略共創チーム 上席主任コンサルタント)
・長田新子氏(一般社団法人渋谷未来デザイン理事・事務局長/SIW エグゼクティブプロデューサー)

 ガイドライン ver.1.5では、今年4月に発表されたver.1からさらにクリエイターエコノミーの実現に向け、NFT活用時の注意点や都市連動型メタバースでの活用の考え方を中心にアップデートされている。

 項目としては、メタバースにおいて運営からユーザーへの一方的なコンテンツ提供だけでなく、ユーザーが主体となってコンテンツやサービスを創出し、ほかのユーザーに対して提供できるような環境整備が望ましいとされる「クリエイターエコノミーの活性化」、メタバースや都市連動型メタバースにおいてNFTの活用方法を整理した「メタバースおよび都市連動型メタバースでのNFTの活用」、クリエイターの収益化の実現に向けて、「流通過程での中抜き」と「過当競争」の2つの課題をあげた「メタバースにおいてNFTを活用する際の課題」などがアップデートされた。

 KDDIの川本氏のプレゼンの後に、みずほR&Tの上田氏を進行役として、経済産業省の上田氏、東急の渡邊氏、渋谷未来デザインの長田氏を交えたアップデート箇所に関するトークセッションが行われた。まず、上田氏がクリエイターエコノミーの創出について、「(1)必要な環境整備」「(2)政府の後押し」「(3)議論の場を創出」「(4)業界団体の統一」が課題としてあることを説明した。

 トークセッションの話題は「リアルとバーチャルの融合」について。都市連動型メタバースにおいてどのようにコミュニティを形成していくかーーそもそもコミュニティとはどのようにできるのかは研究家の中でも議論されていることだと上田氏は語る。pixivやニコニコ動画の流行、初音ミクの誕生といったコミュニティ/コンテンツが自然偶発的に出てきたことを振り返りつつ、長田氏は新しいクリエイターとの繋がりによって様々な街のコミュニティも繋がっていくことを語る。それを受けて、上田氏は「相対的なリアルな価値は上がっていく」と結論づけた。

 これに川本氏も「バーチャル側での体験がリアルに返ってくるということがいかに多くできるか。または、リアル側でやったことがバーチャルに返ってくるということができると、自分の関わることができる街、場所としてその空間は出来上がっていく」と主体性を持ってその街に関わっていく「シティ・プライド」と関連づけてコメントした。渡邊氏は不動産デベロッパーとしての立場から、不動産会社の各社が「バーチャル◯◯」とつく配信プラットフォームに関心があると思うと話し、「なかなか足がかりがない部分もあるし、正直自分たちでメタバースを作るとなると、不動産会社は箱を作りたがって、その後はあまり考えない。作った先のところ、運営がこれから課題でそういう人を採るべきなのではないかと思いますね」と考えを示した。

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