年収240万・工場勤務のYouTuber「絶望ライン工」にハマる視聴者続出 その理由は“リアルとフィクション”の曖昧さにあり?

 11月1週目は、年収240万、ライン工場で働く独身男性「絶望ライン工」の動画がYouTubeの急上昇にランクイン。「一度動画を見たら見続けてしまう」中毒性があるという声がある絶望ライン工だが、なぜ視聴者はそんなにこのチャンネルにハマるのか、その謎に迫ってみたい。

【年収240万】絶望弁当1週間【工場勤務】| これが、俺の弁当だ。

 「絶望ライン工」は、非正規社員として工場で働く、婚活中の39歳の独身男性だ。2020年、38歳の誕生日にYouTubeを開設し、1本目の動画を投稿した絶望ライン工は、11月8日には40歳の誕生日とチャンネル開設2年を迎える。動画には愛犬である「絶犬」も登場し、給与明細や休日の様子、料理をする姿などを公開。これだけを見ると、絶望ライン工はYouTuberであること以外はよくいる一般男性のように感じるのだが、実はこのチャンネルには視聴者をトリコにする要素がたくさん詰まっているのだ。

 今回の動画は、勤務先の工場に持って行くお弁当を作る様子を1週間分収めたもの。その中のひとつは、絶望ライン工が35歳の冬に勤務していた清掃工場に持っていっていたお弁当を再現している。そのお弁当は、目玉焼きを乗せた麦ご飯と焼売3つを詰めた「本当に絶望的な弁当」。絶望ライン工いわく、当時は「人生で1番辛かった頃」で、このお弁当には毎日必死に生きてきた思い出が詰まっているとのこと。チャンネル名の「絶望ライン工」も、この時に思いついた言葉であることが明かされている。

 絶望ライン工チャンネルの概要ページには、「私のチャンネルはすべて幻であり、虚構です。私を含め、動画内の人物や場所は実在しません」という文章がある。しかし、「給与明細は実際に支給されているものであり、私の現在の職場は製造業である」とも記載されており、この点はリアルであると明言。こういった言葉から絶望が只者ではないということは読み取れるが、何をどこまで信じていいのか、とにかく謎が多いチャンネルだ。

 以前YouTubeで公開した動画やTikTokで、かつて作曲家だったことを明かしている絶望ライン工。YouTubeでは自作のテーマソングやBGMを使用し、チャンネル開設1周年のときには作詞作曲を自ら手掛け、故郷の福島県で撮影した「絶望少年おじさん」のMVを公開している。今年8月には自身が作詞作曲した「Fragment」を工場勤務YouTuberの見守あらたが歌唱し、そのMVをYouTubeで公開するなど、徐々にその正体と実力をオープンにしてきている。YouTubeに投稿されている楽曲を聴いた視聴者は、その出来から作曲家という経歴に納得するばかりだ。

 絶望ライン工の動画は基本的にナレーションが吹き込まれているのだが、そのワードチョイスにもセンスが光っている。書評動画を投稿するほど読書にも親しみがあることから、ここまでくると作詞もできるという点に驚きはない。企画や構成、編集にしても、平日にほかの仕事をしていることを忘れてしまうほどハイレベルだ。視聴者のコメントを見ると、絶望ライン工が動画を通して発する唯一無二の世界観もまた、このチャンネルの魅力になっていることがわかる。

 一見普通の独身男性のVlogかと思いきや、蓋を開けてみたらすごい才能の塊だった絶望ライン工。「すべて幻であり、虚構です」と宣言し、リアルかフィクションか惑わされる中、過去と実力を小出しにする戦略に視聴者がまんまとハマってしまったようだ。少しずつ明らかになっていく絶望ライン工の人物像を見ると、絶望ライン工はまさしく「上手の猫が爪を隠す」状態だが、この先は一体どのようなストーリーが展開されていくのか。絶望ライン工は、この先覚えておいて損がない動画クリエイターのひとりだろう。

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