話題となった「VALORANT APEX合コンサーバー」が削除に ゲームと”出会い”の難しさを考える
9月末に話題となった「VALORANT APEX合コンサーバー」。ゲームを通じて男女が出会うことを目的に含んだ同サーバーは、設立後すぐに賑わいを見せたが、同時に嫌悪感を示す人も少なくなかった。同サーバーの削除によって一連の話題は沈静化したように見えるが、現在も類似サーバーは多く存在するようだ。
ゲームを通じて誰かと”出会う”ことが珍しくない昨今。そうした出会いから始まる恋愛は否定できない一方で、懸念すべきことも少なくない。本稿では、「VALORANT APEX合コンサーバー」閉鎖騒動から、ゲームを通じた”出会い”について考える。
「VALORANT APEX合コンサーバー」とは
件のサーバーは、9月26日にDicord上に設立された。発起人となったユーザーは「彼氏彼女つくったり、フルパ募集できたり」といった文言をツイートしており、ゲームを通じて男女が出会うことを目的に含んでいたことは明白だった。
このサーバーは順調に人数を増やしていき、Twitterのトレンド入りを果たすなど話題を呼んでいた。設立初期はボイスチャンネルで集まって『VALORANT』などのゲームを純粋に楽しむユーザーがいたようだが、参加者が増えた結果、荒らしユーザーも目にするようになっていく。
また、そうした状況はさらなる話題を呼び、サーバーの内情を伝えるために「潜入」する動画をYouTubeにアップするユーザーも。くわえて動画が注目されたことにより面白半分で参加するユーザーも増えていく悪循環となり、サーバーの治安は悪くなる一方だったようだ。
出会いを目的にしたイベントや空間の例にもれず、同サーバーは男女比に偏りがあり、男性に対して女性が圧倒的に少なかったようだ。最終的には5000人以上のユーザーが参加していたものの、荒らしユーザーの多さと男女比から、このサーバーが出会いの場として機能していたかは疑問が残る状況だった。
そんな中、サーバーの方針が変更される。18歳未満の利用と出会いを目的とした行為が禁止になった。結局、該当サーバーは同日に突然削除された。
「合コンサーバー」という名前に反して出会いを禁止するという矛盾や、突然のサーバー削除からは、予想を遥かに上回る参加者の数や、荒らしへの対応に関する運営者の困惑ぶりがうかがえる。なお運営者はサーバーの削除後にTwitterアカウントも消去しているため、本来の意図は分からずじまいだ。
「VALORANT APEX合コンサーバー」騒動の顛末は上記の通りだが、その後も男女の出会いを目的とした「合コンゲームサーバー」は様々なゲームで新たに設立されており、SNSや検索エンジンで調べれば、招待リンクが出てくる。各サーバーの内情は定かではないが、今後もこうしたサーバーは話題になる・ならないに関わらず新設されていくのだろう。
ゲームは出会いやすいコンテンツ
そもそもオンラインゲームは人との出会いを生み出しやすいコンテンツであり、ゲーム内のパーティ募集はもちろん、SNSや掲示板などを使用すれば、一緒にプレイする仲間を見つけることは以前から簡単にできた。
恋愛についても、オンラインでの出会いは現実の合コンや婚活イベントなどと違い、顔を出す必要もなく匿名で出会えるため、誰かと知り合う障壁も低い。またゲームを通じての出会いは、「共通の趣味」という恋愛に発展しやすい要素も含んでいる。
ユーザーが出会いを求めることや、ゲームを通じた出会いが恋愛に発展すること自体は基本的に問題のない行為であり、否定するものではない。アプリやSNSで出会うことが当然となった昨今では、尚更だ。
ゲーム内に結婚をシステムとして組み込んだゲームも今では珍しくはないし、チームを組んで戦える『VALORANT』や『Apex Legends』のようなゲームは、ボイスチャットを使用したほうが連携が取りやすいなどの利点もある。
そのため、ネットで知り合った人とボイスチャットを繋いでプレイすることは自然と行われている。そこで知り合った男女が、ゲームという共通の趣味をきっかけにして恋愛に発展することも想像に難くない。
それでも「VALORANT APEX合コンサーバー」サーバーが前述のような騒動に発展したのは、「合コンサーバー」という露骨な名称や、ゲームコミュニティに存在する”出会い”へのネガティブなイメージが根底にあるだろう。
実際、ゲームで知り合った男女によるネット上のトラブルは少なくないようだ。たとえばランクシステムのあるゲームで、デートを条件にランク上げを手伝ってもらうなど、ゲーム性を歪めてしまうような事例も存在する。こうしたことが、ゲームにおける”出会い”に対する悪印象に繋がっている部分もあると思われる。