『レッツ&ゴー』のハイテクミニ四駆「GPマシン」を再現するYouTuber 自動走行モードも搭載

 昨今、自動車の電動化や自動運転技術が話題となっている。なかにはミニ四駆の影響から、ある意味“なじみ深い技術”だと感じている方もいるのではないだろうか。

 今回は、そんなアニメに出てくるようなハイテクミニ四駆をこだわりと共に再現した「アズパカチャンネル」の動画を紹介したい。

グランプリマシンを作る

 こちらの動画から始まったプロジェクトは、ミニ四駆アニメ『爆走兄弟レッツ&ゴーWGP』に登場した、GPマシンを再現するというもの。GPマシンはいわばAIを搭載した加減速、コーナリングをマシン自ら行えるハイエンドミニ四駆という劇中設定である。

 ことの始まりは、片付け中に出てきたミニ四駆。昔遊んでいたマシンを発見し、これをただ直すだけではなく、アニメのように走らせられないか、という思いから始まったという。

 まず前後輪に駆動を分配するプロペラシャフトを左右両側に設置。ホイールに接続されているシャフトも左右で分割し、左右別々のモーターで駆動させる構造に。制御チップを搭載し左右独立で駆動させることに成功している。これは劇中にて左右の車輪回転差で曲がる動きをそのまま再現しているようだ。さらに、ボディも違和感なく搭載されており、オリジナルの形状をほぼそのまま保っているのが驚きだ。この段階では操縦は人間側で行うシステムになっている。操作はひと癖あって難しいようだ。その後、ミニ四駆用改造パーツで安定性を改善していき知見を深めていく。

3Dプリンターでラジコンミニ四駆を作る

 さらに大幅なアップデートのため、3Dプリンターを導入。自作パーツも取り入れるほどディープなものになっていく。しかし自由度があまりにもあるため、自らルールを設定。ミニ四駆らしさを残すルールをいくつか定めるというこだわりに、ミニ四駆ベースでやる意義を感じる。手始めにラジコン形式の車両を製作。採寸して3Dモデルを起こし、オリジナルシャーシを設計して3Dプリンターで立体化した。この工程はまさに『レッツ&ゴー』作中のマシン開発を思い起こさせる。地面の凹凸をかわすためシャーシ底面が高く設計されているのは、過去の経験が活かされている点だろう。結果としてこの底面設計により、凹凸のある路面でもかなり安定して走行できるようになる。

 その後、アップデートにより「シャーシ裏から電池が交換できるようにする」「ホイールベース(前ホイール中心点と後ろホイール中心点の間の距離)調節機能」「ミニ四駆らしいバンパー」などを実装する。一台で様々なミニ四駆ボディに対応し、カスタマイズの自由度が高い点が素晴らしい。シャーシ構成の変えやすさは電気自動車ならではかもしれない。

 その次に着手したのが、マシン自身が車両コントロールを行うというもの。こうなるとアニメのGPマシンに本格的に近くなってくる。

 センサーで壁を検知し、その信号をマイコン(マイクロコントローラ)で演算、モーター出力を制御するという構成で、マシン自らコースに沿って曲がることを実現させる。ただし。各電気的に動くパーツ同士の互換性を持たせるのが大変で追加パーツとの連携が苦労したポイントのようだ。

 しかし工夫とこれまで開発したシャーシの改造のしやすさによって、とてもコンパクトにシステムを組み込むことに成功。プログラム側で左右駆動差を調整していき見事自動運転を成功させる。

 また、ゲームのコントローラーを使って操作できるようにも開発。自動走行にする際にプログラムが流用できそうなため手始めにここからスタートしたそうだ。PS3コントローラーを使用することとし、モーターON、OFFの操作から完成させていく。左右輪の回転差によって曲がるシステムのためこの時点で走る、曲がる、止まるの基本要素が大まかにできている。アナログスティックでの微調整も可能に。

 そして、用意したパラメータによって構築された「走り方の特徴」を持つ車両制御プログラムをつくり、マシンによって走り方に個性が出るようにするというこだわりの開発をしている。

自動走行も遠隔操縦もできるプロトセイバーEVOLUTION

 そして、こちらの動画、アニメの主役チーム、ビクトリーズのGPマシンをすべて作り上げるため、まずはオールマイティーな性格のプロトセイバーエボリューションから製作することとなった。

 シャーシはアニメ設定の形状、色を再現するこだわりが素晴らしい。走行プログラムもアップデートされ、各パラメータをより細かく調整できるようになる。手動操作のラジコンモードと自動走行のモードが切り替えられ、遊びも幅が広がりそうな仕様だ。

 自動走行モードでのテスト。序盤では曲線を描くコースに対してかなりガクガクとしたぎこちない動きになっていたが、センサーの感知距離を調整し、より細かな、そして適切なセンシングとそれによる車両制御が実現しスムーズな走行をさせることができた。

 今後は前方車両への自動追従によるフォーメーション走行も開発予定とのことで、実車の自動運転技術に近いことが起こるような予感も感じさせる。元のデザインを残すこだわりを実現しつつ、ハイテク装備を作りこんでいく中で工夫する素晴らしさも見えてくるようだ。

 これまでの開発の詳細や今後の動画をぜひ、アズパカチャンネルからチェックしていってほしい。

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