1000日間の1分動画から始まったサクセスストーリー 動画作りを学ぶなら見ておきたい「Nas Daily」
動画作りに1番役立つ動画コンテンツは? と聞かれたら、真っ先に「Nas Daily」と答えるようにしている。
「Nas Daily」とは、アラブ-イスラエル人のビデオブロガー Nuseir Yassin氏(通称Nas)のチャンネルだ。元々Facebook限定で毎日公開されていた1分動画だったが、2019年にYouTubeチャンネルを開設し、それからはYouTuberとしても活動している。
Nasとは
本題に入る前に、Nasの経歴をさらっと紹介しよう。
イスラエルで育ったNasは、航空宇宙工学を学ぶために19才でハーバード大学に進学。エッセイには、イスラエル生まれのアラブ人では夢を実現させるのが難しいと書いたそうだ。
ハーバードを卒業後、PayPal傘下のモバイル支払いサービス会社Venmoにソフトウェアデベロッパーとして就職するも2016年に退社。退社の理由を、「どんなに頑張って成功しても収入はある程度で頭打ちになってしまうと気づいたから」と説明している。
そして世界中を旅しながら動画を作りFacebookにアップロードする「Nas Daily」が始まった。
誰かの時間を1分以上使うのは申し訳ない
Facebookで始まった「Nas Daily」は、1000日間毎日1分の動画をアップすることを公約にしていた。
プラットフォームをFacebookに限定していたのは、Nasの友人らが主に使っていたプラットフォームがFacebookであったことと、ユーザーネームを使えるYouTubeよりも、実名登録が推奨されているFacebookの方が画面の向こうの人を意識できるという理由だった。(現在はYouTubeにもチャンネルを開設しており、NasだけでなくNas Dailyのチームが作った動画もアップされている)。
この当時、1分間の動画にこだわっていたのは、「誰かの貴重な時間を1分以上奪ってしまうなんておこがましい」と思っていたからだ。Nasが日々着用しているTシャツには、インジケーターがプリントされている。て、自分の人生が何%終わったのかを表示しておりに、彼が時間や人生をとても重く考えていることがわかる。彼の、人の時間へのリスペクトが最も表れているのが「1分間」という動画尺だ。
そしてこの設計思想・戦略は非常にうまく作用した。
1分だけだからと気軽に再生され、時に物足りなさを感じていくつもの過去動画も回遊された。
視聴者はFacebookでNasと共に歩んだ1000日間で、時間に対する考え方が変化していることだろう。
旅ではなく人動画
「Nas Daily」は、2019年に1000日間の1分動画を上げるチャレンジを終え、同年2月から100週間にわたって毎週動画をアップすることに。
テーマは毎日動画のときと同様、旅先で出会った人々だ。彼は70カ国以上旅をしていたにもかかわらず、その内容は旅行先の紹介ではない。率先して現地の「成功者」や「敗者」「面白い試みをしている人」などにフォーカスした動画を作ることをモットーとしている。
類まれなるコミュニケーション能力と行動力、さらに体力と判断力が伴わなければなし得ない動画作りだ。また、テーマに選んだ内容がどんなものであれ、常に学びや視聴者の気づきにつなげるのも評価されているポイントだろう。
現在、Nasはシンガポールとドバイの2カ所に拠点を置いて、ビジネスを運営している。70カ国を回った上で、まずシンガポールに定住しようと考えたのは、治安や国内外へのアクセスの良さ、買い物の便利さ、英語が共通言語であることなど挙げている。居住費やランニングコストの高さがあってもビジネスをする上での利点が多いと判断したそうだ。
また、ドバイについては、その発展速度の速さから「ここに住むことで時代の目撃者になりたい」と話している。ビジネスマンとしての利点としては、税金のなさを挙げている。
Nasの動画を観ていると、動画作りにおける重要なポイントが見えてくる。教育的であり娯楽性があり、かつ視聴者の時間を奪わない。視聴者の時間を消費させるなら、それだけの価値と意味があればいい。
初期の頃の動画から改めて見返せば、彼が動画制作をビジネスに発展させるまでの流れも学べることだろう。
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