「あんスタ」を通して見えてきた、次元を超えてアイドルを愛すということ

　2020年に大型アップデートを行い、今年の4月28日で7周年を迎えた『あんさんぶるスターズ！！（通称：あんスタ）』。

　『あんスタ』は、Happy Elementsが提供するスマートフォンゲーム。2015年4月28日にサービスを開始。私立夢ノ咲学院でアイドルたちをプロデュースする『あんさんぶるスターズ！』から、2020年の大型アップデートを機に舞台をアンサンブルスクエアに移した『あんさんぶるスターズ！！』へと進化した。

　その勢いはリリースから衰えず、2022年3月には総合セールスランキング1位を記録。『あんスタ』の華々しい快進撃の裏で、サービスを終了していくゲームは数多存在している。

　二次元アイドルゲーム戦国時代の中、なぜ『あんスタ』はここまで多くのファンを獲得できたのか。その秘訣は、アイドルたちが現実に存在しているという演出の巧みさにある。

「スタライ」の存在

　高度な3D技術によって実現する、バーチャルライブ「あんさんぶるスターズ！！DREAM LIVE（通称：スタライ）」は、『あんスタ』で最も人気なリアルイベントの一つである。

　大きなスクリーンに３Dのアイドルたちが映し出され、観客たちはまるで目の前でアイドルたちがパフォーマンスしているかのような錯覚に陥る。

　VTuberの登場によって今でこそ有名になったバーチャルライブだが、スタライの初開催は2017年。約５年も前なのだ。2017年から毎年恒例の行事となり、2022年には6th Tour "Synchronic Spheres"、7th Tour “Allied World“が幕張メッセとインデックス大阪にて開催。

圧倒的な３D技術を用いた『あんさんぶるスターズ！！Music』

　「スタライ」の3D技術を応用し、2020年3月15日にファン待望の『あんさんぶるスターズ！！Music』をリリース。リズムゲームのバッググラウンドでは、美麗な３Dモデルのステージを見ることができる。編成したアイドルが選んだ楽曲を踊るため、組み合わせは無限に存在している。

　楽曲のオリジナルメンバーとその他のアイドルとでモーションを別途作成するといった手の込み具合をみれば、『あんスタ』の本気具合がわかるだろう。

アイドルたちが現実世界でお仕事

　大型アップデート後、実在する企業とのコラボレーションも頻繁に行われてきた。バラエティ豊かで魅力的なコラボばかりなのだが、なかでもプラネタリウム満天とのコラボについて取り上げたい。

　なんとコラボホームページに『あんスタ』の文字はなく、コラボ担当ユニットであるSwitchの紹介文には、「新進気鋭の芸能事務所「NEW DIMENSION」に所属する、奇抜さを求める魔法使いユニット」と書かれている。まさにアイドルが現実に存在しているかのような演出だ。

公式サイト：https://planetarium.konicaminolta.jp/event/switch/

アイドルの存在を身近に感じられるグッズ展開

　『あんスタ』のグッズは秀逸なものが多く、なかでも「一緒に暮らすアクスタ」はSNS上で話題を呼んだ。

　アクスタはアクリルスタンドの略称で、アニメファンの間ではお馴染みのグッズである。手のひらサイズのものが一般的で、インテリアとして飾る人が多い。しかし「一緒に暮らすアクスタ」は、サイズが高さ約26～28cmとかなり大きなサイズ。上半身のみ印刷されているため、机の上に置くとアイドルがそこに座っているかのように見えてくる。当商品は当初の想定以上の予約があり、受注販売は三次受付まで延長された。

　また、アイドルをイメージしたロールオンフレグランスの再販も話題になった。予約開始から数時間で売り切れが相次ぎ、三次予約まで開催決定。このように、アイドルをリアルに感じられるグッズの人気は計り知れない。

 

作中登場カフェの実店舗営業

　ゲーム内に登場するカフェ・CAFE CINNAMONの常設営業が発表されたときは界隈がどよめいた。なぜなら、カフェのどこにも『あんスタ』の面影はなく、どこから見ても普通のお洒落なカフェだったからだ。

　キャラクターのイラストが描かれたパンケーキやドリンクなどを扱うコラボカフェなどは度々開催されているが、CAFE CINNAMONは違う。キャラクターを連想させる要素が極限まで削られている。しかも、常設の店舗で。あんスタ！！はアイドルだけでなく世界観までも現実に持ち込んできたか…と唸るファンが散見された。

公式サイトhttps://es-cinnamon.cafe/