噂の“猫ゲー”『Stray』がゲーマーの心を掴む3つの理由 2022年屈指のトレンドタイトルについて考える
最後に挙げるのは、『Stray』が「ネコ好きの、ネコ好きによる、ネコ好きのためのゲーム」であることが、主人公への感情移入へとつながっている点である。一般にアドベンチャーというジャンルは、テキストでシナリオを説明するケースが少ない。そのような特性があるからこそ、いかにプレイヤーをタイトルの持つ世界に引きずり込むかが重要となるわけだが、その点において最初から共感が得られていることは大きなアドバンテージとなり得る。
たとえば、主人公の猫が危機に直面したとき、(ネコ好きの)多くのプレイヤーはその状況に声を上げ、画面を観ていられなかったはずだ。こうしたシーンはRPGのジャンルでも時折登場するが、同じように声を上げてしまった経験があるプレイヤーはあまり多くないのではないだろうか。そこには間違いなく、危機に直面した主人公への感情移入が存在する。「ネコが好き」というプレイ開始時から持ち合わせる条件だけで、テキストでシナリオを説明し世界観を作り上げていくRPGと同等、またはそれ以上の没入感をもたらすことに、『Stray』は成功しているのだ。
年間でも幾度とないほどのムーブメントを巻き起こしている『Stray』。手に取った理由がネコに対する愛着だったとしても、ぜひ世界観や音楽に対する作り込みにも注目して欲しい。
「ネコ好きの、ネコ好きによる、ネコ好きのためのゲーム」『Stray』の快進撃はまだまだ続きそうだ。