Ankerの充電器が小型化&高出力を叶えたワケ 独自技術「GaNPrime」と搭載製品を発表
アンカー・ジャパン(以下、Anker)は7月26日、100W以上の超高出力および小型化、そして複数ポートへの電力配分を最適化し、充電効率を高めた最新充電技術「GaNPrime」を発表した。あわせて搭載製品の予約を開始、8月から順次販売を開始する。
高出力・小型化を実現した「GaNPrime」
近年、小型化が進んでいるUSB充電器だが、それを支えているのが次世代パワー半導体素材の窒化ガリウム(GaN)だ。従来、パワー半導体にはシリコン素材(Si)が使われていたが、GaNはSiと比べてエネルギー効率に優れ発熱も少なく、充電器の高出力化・小型化を図ることができる。AnkerはこのGaNを2018年に世界で初めて製品に搭載した。そして2021年には、GaN搭載製品の電源ICと回路設計を見直し、さらなる小型化を実現したGaN IIを発表。GaN II搭載製品の国内累計販売台数は2022年7月時点で50万台を達成したとのことだ。
今回発表されたGaNPrimeは、このGaN IIをさらに発展させたもので、100W以上の高出力化と共に小型化を実現。加えて、複数ポートでの流動的な電力配分により、充電効率の向上を果たしている。
中でも、小型化を担っているのは電源ICの分離配置とPCBA 3Dスタッキングだ。従来、一体型だった電源ICを、分離配置が可能な制御ICとGaNトランジスタを採用して熱源を分散。さらに、パーツが分離したことで生まれた空間を利用し、プリント基板や電子部品を立体的に配置することが可能となり、充電器内の空間を余すことなく活用し小型化を実現した。
また、接続された機器を即座に認識し、その機器に適した最大出力で充電を可能にするAnkerの独自技術「Power IQ」が4.0に進化し、100W以上の超高出力に対応した。このPower IQの新機能として、接続した機器がその時に必要としている電力を毎秒検知し、供給電力を調整する「Dynamic Power Distribution」を搭載している。これにより電力の流動的な配分が可能になり、充電効率を高めるのだ。
また、大容量の急速充電となると発熱の心配も出てくるが、継続的な温度管理と出力制御を行うAnker独自のActiveShieldが「ActiveShield 2.0」にアップグレード。温度上昇の計測回数がこれまでの2倍となる毎秒35回に増え、充電器本体が規定の温度に達した場合には電流/電圧の負荷調節を行うことで、過度の温度上昇を防止する。
「GaNPrime」搭載製品が順次発売
このGaNPrimeを搭載した製品は、充電器が3種類、充電器とモバイルバッテリーが一体化したPower Bankが1種類、電源タップが2種類、そしてポータブル電源1種類をラインアップしている。
GaNPrimeシリーズの中で、最大出力となるのが150Wに対応した「Anker 747 Charger(GanPrime 150W)」だ。USB Type-Cが3ポート、USB-Aが1ポートの計4ポートの充電器で、1ポート使用時はUSB-Cの最大出力は100W、USB-Aは22.5W。4ポート同時利用では最大150W出力となる(USB-C1 + USB-Aの組み合わせのみ最大24W)。
もちろん、Dynamic Power Distributionにより電力を流動的に配分することで、4ポートすべてで同時急速充電を行える。
特徴的なのが、世界初のGaN搭載ポータブル電源だという「767 Portable Power Station(GaNPrime PowerHouse 2048Wh)」だ。バッテリー容量2048Whのポータブル電源でAC出力 x 6、USB-C x3、USB-A x2、シガーソケット x2を備えている。GaNPrimeにより、効率的な電力配分を実現しているようだ。