声とテクノロジーで変革する”メディアの未来”
知性と面白さが同居するコンテンツを作る“難しさ”とは? 気鋭の音声番組『ゆる言語学ラジオ』に聞く
恋愛リアリティショーを模した画期的な新番組の始め方
そんななか、堀元が新たな野望として掲げるのが、ゆる言語ラジオのフランチャイズ化だ。
「ゆる学徒ハウス」という姉妹番組を立ち上げ、一般公募の中からラジオパーソナリティを選出。
水野と堀元が培ってきた「知的かつ、ふざけていて面白い」という新たなラジオ番組を生み出していくという。
「ゆる言語学ラジオでは月額1000円から入れるサポーターコミュニティを運営していて、そこでは、Discordを通してラジオ好きやお喋り好きの人が、いろんなジャンルのチャンネルを立ち上げて交流を図っています。実はその中から80番組くらいのラジオが自然発生的に生まれていたんですよ。これを見て『世の中にはたくさん理屈っぽい話をしたい人がいるんだな』と思うようになりました。
そこで、ラジオパーソナリティを一般公募して、事務所のような形で新しいラジオ番組を生み出していけば、非常に面白くなるのではと考えたんです。それが、ゆる学徒ハウスを始めるきっかけになっています」
ゆる学徒ハウスで番組を持つラジオパーソナリティの選考には、かなりエンタメ要素を意識したオーディションを展開していくそうだ。
1、2次のオーディションでは、その模様をYouTubeチャンネルで配信。そこで10人まで選考者を絞り、3次は共同生活のオーディションを行うという。
「実は3次オーディションが最大の目玉なんです」
そう語る堀元は、次のように展望を述べる。
「恋愛リアリティー番組として有名な『テラスハウス』のような世界観で、ラジオパーソナリティの選考会を実施するイメージです。想像できますかね(笑)。共同生活の中で意図せず生まれた会話や駆け引きって、とても惹き込まれますよね。テラスハウスの中心は恋愛要素だと思いますが、こちらはラジオパーソナリティで再現しようという試みなんです。2泊3日の共同生活を行うなかで、いつでもラジオ配信できる環境を用意する予定です。
海辺のオシャレな家で共同生活をして、選考に集まった人同士のフリートークから自然と会話が盛り上がり、ラジオを収録する。こういった流れは非常に画期的だと思うんです。共同生活の中で自然にラジオを収録し続けて3日間過ごせば、相当数のコンテンツが生まれることになり、今までにないような斬新な選考になるのではと今からワクワクしているんです」
恋愛リアリティショーでは、男女ともお互いを知らないまま、初対面を迎えることになる。
出会った当初のよそよそしさや、ぎこちなさ。
次第に打ち解けて、気になる相手と距離を縮めていく生々しさが、エンタメとしての最大の見せ場になっているわけである。
ゆる言語学ラジオも、もともとは水野と堀元が1回しか会ったことのない間柄から始め、成功を収めた。
関係性の深化をエンタメとして見せ、始まりの瞬間を目の当たりにする面白さを届けていく。
これこそ、堀元が仕掛けるゆる学徒ハウスの大きな特徴になっている。
最後に堀元へ今後の意気込みを聞いた。
「実体験として、ゆる言語学ラジオの結成秘話について語るライブ配信を行った際に、スパチャ(YouTubeのライブ配信時の投げ銭機能)が30万円くらいいただいちゃったんですよ(笑)。やっぱりお互いの馴れ初めというか、出会いからどのように関係性を深めていったのかということに対する"エモさ"をみんな楽しんでいるんだなと実感しましたね。ゆる学徒ハウスはこれまでの常識を覆す新番組だと思うので、ゆる言語学ラジオのファン以外にも届いてほしいですね。これからも世の中にないような面白いコンテンツを生み出せるように頑張ります!」