「少年野球が抱える問題は多い」 日本一の野球YouTuber・トクサンTVが保護者や指導者に伝えたいこと

トクサンTVが野球界で担う役割

実は保護者や指導者にも読んでほしい新著『超少年野球教室』

――この春発売された『マンガでわかる! トクサンTVが教える 超少年野球教室(以下、超少年野球教室)』。これまでに『超バッティング講座』『超守備講座』などの著書がありますが、少年野球に向けた著書は初めてです。以前からやりたいという希望はあったのでしょうか?

トクサン:先ほども少しお話しましたが、僕らは時間を見つけてはプライベートで少年野球を見に行っているんです。そのなかで「少年野球が抱える問題って多いな」と思うようになって。たとえば指導者問題や保護者の負担問題、野球ができる場所も少なくなりましたよね。昔は「ただいま! 行ってきます!」とランドセルを投げおいて友達と野球をする放課後が当たり前でしたが、いまはそうじゃない。少年野球チームに入って初めてボールを投げ、打ち、ルールを知ることのほうが多いんです。

 だからそのクッションになりそうなコンテンツを作りたいと思っていたとき、出版社の方から声をかけていただいて。今回の『超少年野球教室』発行につながりました。

――野球においての「基本のキ」が詰まった本著ですが、少年野球選手以外にも読んでほしい方はいますか?

ライパチ:本当に今回は基本を詰め込んだ本になったと思います。僕は中学、高校野球選手にも読んでほしいですね。今一度、「野球ってどういう姿勢で臨むべきなんだっけ」「練習試合ってなんのためにしてるんだっけ」ということを考え直せる一冊になっていると思います。

トクサン:僕は保護者、指導者の方にぜひ読んでほしいと思っています。今回の『超少年野球教室』は、野球の優しい技術的な解説をしているのももちろんですが、各章に「保護者の方、指導者の方へ」というコラムを入れています。子どもが少年野球を始めたけど、ご自身は野球経験のない保護者の方へは、プレイについてのハンドブックにもなりますし、指導者の方へは今までと違う視点があるかもしれません。

ライパチ:でも、たまに指導者の方から「子どもが『トクサンTVでこう言ってた!』といって聞いてくれなくなった」なんてお言葉をいただくこともあるんですけどね……(笑)

トクサン:あったね(笑)。あくまで僕らの考え方であって、正解は一人ひとり違うのが野球です。でも昔ながらの「失敗したら怒鳴られる」といった指導方法で本当にいいのだろうかを考える時代に来ていると思うんですよね。だから今回は「失敗していい」「練習はできることを増やすところ」といった考え方の部分を多く入れこみました。

――最近は野球人口の減少なども取り上げられるようになりました。『超少年野球教室』を手に取った人が野球を始めてくれたら……といった願望もあったりして?

トクサン:うーん、僕、「嫌ならやめればいい」って思うんですよね。いい意味で。

ライパチ:いまは野球だけじゃなく、本当にいろんなスポーツができるようになりましたし。野球から離れたら好きになったとか、大人になってもう一度やり始めたら楽しいとか、そういう気持ちですよね。

トクサン:持論ですけど、野球を辞める人は「野球を嫌いになった人はいない」と思っていて。たとえば中学高校で野球を辞める人って、ケガ以外は先輩が怖いとか、監督の方向性と合わないとかの野球以外の面だと思うんです。本当に心の底から野球を憎んで、辞めたいって思った人はいないはず。僕らのコンテンツは、野球を嫌いにならないような環境は作れないけど、思考は作れると思います。一人でも野球を好きでい続けてくれるようなコンテンツをこれからも発信していきたいですね。

――ありがとうございます! 最後に今後の「トクサンTV」の展望を教えてください!

ライパチ:いまはこうして動画に出ている立場ではありますが、自分が自分が……と前に出るよりも、陰から野球人を応援していきたいと思っています。いろんな野球人がいることをトクサンTVでもっと発信していきたいですね。あと、草野球もずっと続けていきたいです!

トクサン:トクサンTVのトクサンが、野球界と野球人のパイプとしてあり続けたらうれしいですね。いまはテレビアナウンサーが担うリポートも、僕らのような情報量がある人がやればまた違った角度から野球を見ていけるはず。YouTubeはもちろん、もっと大きなマスで動いていきたいです。

 あと、最近は僕らが作ったグラブが韓国で流行ったりと、アジア展開もしつつあります。日本国内はもちろんですが、海外進出も狙っていきたいです!

■書誌情報
『マンガでわかる! トクサンTVが教える 超少年野球教室』
著者:トクサン
発売日:2022年04月01日 
KADOKAWA刊

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