インフルエンサーのNFT購入が問題に? フォロワー5000万人超えの人気司会者により「Moonbirds」の価値が急上昇

 アメリカの人気トーク番組「ザ・トゥナイト・ショー」のホストで、過去に「エミー賞」の司会も努めたジミー・ファロンが、フクロウの絵のNFT「Moonbirds(ムーンバーズ)」を猛プッシュしている。しかし、そのNFTを手がけている会社は、NFTを彼にタダであげたかどうか覚えていないようだ。

 4月19日、ファロンは話題の新しいNFTコレクションである「Moonbirds」についてフォロワー数が5,000万人以上いる自身のTwitterアカウントに投稿。プロフィール写真もMoonbirdsのフクロウに変え、このNFTコレクションにお墨付きを与えた。

 ファロンは、NFTのコミュニティではコレクターとして知られており、高価な「Bored Ape」のNFTも所有している。ファロンのツイートを見て、NFT信者たちは興奮した。あのファロンが目を付けて早めに購入したのなら、きっと価値が急上昇するはずだ、と。しかし、ファロンはお金を払ってフクロウを購入したわけではなさそうだ。

 Moonbirdsを手がけるProof社は、著名人にフクロウを無料でプレゼントすると予告していた。BuzzFeed Newsは、共同設立者の一人でテック業界のベテランであるケビン・ローズに、無料でフクロウを受け取る著名人にファロンが含まれているかどうか尋ねたところ「30分後に打ち合わせの上、情報を追って連絡する」と返信。2日後、ローズはようやく「ファロンにオマケが贈られたかどうか答えるには忙しすぎる」と回答した。

 なお、回答期限から2日経っても、ファロンの代理人からコメントは返ってこなかった。

 NFTコレクションの価格は、誇大広告に非常に影響されやすい。影響力のある人々がコレクションを購入するのを他の人々が見れば、価格は上昇する。著名人からすると、NFTの買い手として自分の名前が付くだけで、その価値が上がる可能性が高い。ジャスティン・ビーバーもNFTを購入したことをSNSでアピールした著名人の一人だ。

 実際にファロンの影響力によってMoonbirdsの価値も上がったようだ。ファロンがツイートする当日の朝、Moonbirdsは約55,000〜60,000ドル(約708万円〜772万円)の範囲で販売されていた。NFT取引プラットフォーム「OpenSea」によると、ツイートの2日後の金曜日の朝には平均価格は約11.1万ドル(1,428万円)にまで急上昇。60万ドル(約7,722万円)以上で売れたフクロウもあった。

 連邦取引委員会は、インフルエンサーのための一連のソーシャルメディア・ガイドラインを定めており、それによると広告を出す場合は、明確な免責事項を記載しなければならない。広告にはプレゼントも含まれ、例えば旅行ブロガーが無料でホテルに泊まったり、映画スターが無料でデザイナーの服をもらったりする場合は、そのように明言する必要がある。つまり、もしファロンが景品をもらったのなら、それを公表しなければ規則違反だ。

 暗号資産の伝道者たちは、ブロックチェーンのおかげでNFTは透明性が高いと主張する。しかし、NFTを手がけている企業が、著名人にプレゼントしているかどうかを明らかにしない場合、透明性があるとは言い難い。

(画像=EricHovagimのTwitterより)

(Source)
https://www.buzzfeednews.com/article/katienotopoulos/jimmy-fallon-moonbirds-nft

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