新たなチャレンジのために必要なものは“好奇心” or “危機感”! 『スマブラDX』現役プロゲーマー・aMSaと考える「セカンドキャリア」

aMSaと考える「セカンドキャリア」

コミュニティへの“種まき”が、いつかセカンドキャリアとして結実する

――プロゲーマーを目指したいと思っている人に向けて、メッセージやアドバイスはありますか?

aMSa:私がプロゲーマーになった当時は、ひとつのゲームでトップになるだけでも注目を浴びやすかった時代だったと思います。しかも『スマブラDX』に関しては、発売が20年以上も前であるのにも関わらず、いまだにコミュニティが盛り上がっている珍しいタイトルですから、自分もなんとか選手活動を続けることができたのかもしれません。

 対して、近年はゲーム自体の消費スピードが早まってきていますので、ものによっては競技シーンが1~2年続けば良いほうかもしれません。ですから、これからプロゲーマーを目指す方々には、とにかく多種多様なゲームに触れることで自分の実力――総合的な“ゲーム能力”を幅広く伸ばしておくことをオススメしたいです。

 そのうえで何かしらの大会で1位になり、注目を浴びたタイミングを狙ってSNS等でしっかりと発信し、ファンの獲得に繋げる。そして自分自身の影響力を伸ばしていった先で、スポンサーさんを獲得する……このような道筋が、現代においてプロゲーマーになるための方法の基本形ではないかと思います。

――プロゲーマーになった後、活動を継続していくために大切だと思うことはありますか?

aMSa:昨今のゲームは、仕様やバトルバランスに関するアップデートが定期的に入りますので、プロゲーマーとして安定した成績を残したいのならば適応力が必要になります。変化する環境や、次々と発売される最新作に合わせて最適解を見抜く力だったり、単一のキャラクターや単一の戦略にこだわらない姿勢も大切だと思います。

 逆に『スマブラDX』でヨッシーを使い続けている私のようなプレイヤーですと、いまの時代それこそ何かの拍子に“バズる”ことはあるかもしれませんが、継続した活動には結びつきにくいと思います。そんな職人気質のプレイヤーにとっては、より一層重要となるのが、コミュニティへの貢献度や、“コミュニティ愛”ではないでしょうか。

 コミュニティに貢献し、コミュニティを育てることが回り回って自分の支えにもなってきます。コミュニティを育てるということは、すぐに目に見えた結果が出るものではないですし、継続力も求められる“種まき”のようなものです。しかし、そうやっていろいろな種をまいておくことが、先々の活動継続ために――ひいてはセカンドキャリアとして実を結ぶことにもなるのだと思います。

『スマブラSP』の公式大会解説者として、2019年に開催された任天堂主催のオフラインイベントの壇上に立つaMSa(写真中央)。(C)Nintendo 公式チャンネル
『スマブラSP』の公式大会解説者として、2019年に開催された任天堂主催のオフラインイベントの壇上に立つaMSa(写真中央)。(C)Nintendo 公式チャンネル

――ちなみに、aMSaさんは“プロゲーマーのセカンドキャリア”にはどんな道筋があると思いますか?

aMSa:プロゲーマーの経験を活かしやすいセカンドキャリアといえば、まずは“ゲーム配信者=ストリーマー”が挙げられると思います。また、ゲーミングチーム運営者やコーチ業、ゲームキャスターなどもありますよね。

 ただ、いま挙げた職種はどれもタイトルの盛り上がりや競技規模に依存する部分も大きく、選手時代にどれだけコミュニティやゲーム会社などとの繋がりを得られたか、といった点も少なからず影響してくると思います。

 それ以外ですと、ゲーム開発者やゲームデバッガー(※2)などもあります。このふたつの職種については、「プロゲーマーのセカンドキャリアにはこういう道がある」というよりは「こういう道もあってほしい」という、私個人の願望にも近いものです。何しろ前例が少ないですから。

(※2)ゲームデバッガー……開発されたゲームに不具合や意図しない動作などがないかチェック・テストする職業。

――aMSaさんご自身も、将来的に現役を引退した後はゲーム開発者やデバッガーになりたいという想いも?

aMSa:その通りです。やはり過去に『スマブラSP』の開発に携わったことは非常に大きな刺激になりましたし、もともと私は専業プロゲーマーになるまでは、IT企業でプログラマーとして勤務していたので、そこでの経験も活かせるのではないかと考えています。

 これまでプロゲーマー活動を続けてきて、コロナ禍に入り、自身の『スマブラDX』コミュニティが存続の危機にさらされてから、なんとなく自分のなかで“手に職がついている”という実感が持てていないことも、“ゲーム開発者やデバッガーになりたい”と思っている理由のひとつです。もし、現役を引退した後は、ゲーム開発の現場等で様々なスキルを学び、“手に職をつける”ことで自信をつけ、先の人生をより良いものにしていきたいという気持ちがあります。

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