ウクライナ紛争にゲーム企業とゲーマーはどう立ち向かったのか
政治に抗うためのゲーム
ここまで当事者の立場ではなく、あくまでその周囲の立場から、政治に翻弄され、紛争を憎悪するゲーム企業の活動を紹介した。
とりわけ、ポーランド、チェコ、ベラルーシといった東欧諸国はずっと前から政治や紛争の是非を問うような重層的な作品を、インタラクティブかつ「楽しい」内容として何本も仕上げ、世界中のゲーマーに訴えてきた。だからこそ、いま「itch.to」などの募金活動にも多くのゲーマーが賛同し、多くの若者もこの紛争について真剣に考えている。
散々言われてきたことであるが、ビデオゲームは疑いようもなく芸術である。それはただ市場規模がどれだけ大きいとかの議論と無関係に、とても既存のメディアでは伝えられないような悲劇や幸福について他者に伝え、そして考えさせるといった点で芸術なのである。少なくないゲームスタジオ、ゲーマー双方がこの紛争の犠牲者に寄り添おうとするのは、そうした文化が成立していたからにほかならない。
(メイン画像=Pexelsより)