「うたのおねえさん」とのギャップが魅力? 鈴鹿詩子の持つ“にじさんじ”らしい一面
彼女の語る「オタク」とは、経済用語・購買需要層としてスポットライトを浴びてきた「オタク」という側面ではなく、先の楽曲でも漏れ出ているような過剰なまでの自己卑下と自己評価の低さによって周囲と壁を作ってしまいがちな「オタク(≒陰キャ)」としてのキャラクターが強い。
自身が憧れる元一期生の月ノ美兎が、鈴鹿詩子についてかなりクリティカルな一言を言い放っている。
「詩子さんは童貞の男の魂が本当に入ってて、本物なんだと思うんです。器がなんかの魂と入れ替わったんじゃないかって」
これは配信のなかで出た発言であり、すでに交友関係も数年以上が過ぎ、お互いがどんな性格で趣味をしているのかが分かり合っている仲だからこその強烈すぎるイジリであるのは言うまでもない。
とはいえ、「童貞の男の魂」という言葉からイメージされる、「颯爽としたムードとは無縁」「どこか鬱屈とした精神性」「不憫さすらある報われなさ」といったムード・質感は、確かに鈴鹿詩子のキャラクターや生配信にピタリと合致するのも確かである。
公には触れづらいサブカル・アングラなネタやカテゴリーに触れてきた彼女にとって、自身を通して多くの人の目に触れ、より良い理解を広めている現状、何よりも「自分を隠すことなく表現できる」という状況は非常に満足しており、自身をフックアップしてくれたにじさんじへの感謝も述べている。自身と同じような嗜好性をもつファンにとっても、彼女は心強い存在となってきたであろう。
「にじさんじの最低ラインを更新している」と冗談めかして語られがちな彼女だが、その実「バーチャルタレントが表現できるカテゴリーの幅広さ・深さを更新している」とも言い換えることができよう。その根幹にあるのは、オタク・アングラ・サブカルへの愛と見識にほかならない、にじさんじにとってのコアたる部分を彼女は失うことはないだろう。