2022.04.14 12:00

藤本美貴「仕事のために家庭を回さない」　YouTube活動で感じた“無限の可能性”とは

取材＝安田周平、構成＝菜本かな、写真＝はぎひさこ

YouTubeを始めたきっかけは？

――ここからは、藤本さんご自身についてお聞きします。まず、YouTubeチャンネルを開設した理由を教えてください。

藤本：私は、16歳の時からお仕事をしていたんですね。下積み時代とかも、そんなになくて。モーニング娘。がいて、松浦亜弥がいて……アイドルにとってすごくいい時代に、いい船に乗らせてもらっていたんです。基本的にはエリートコースを歩んできたので、いろいろな人に会ってはいるけれど、すごく偏っているというか。エンタメの世界で活動している人しか周りにいないので、社会勉強ができていなかったんです。

――なるほど。

藤本：いろいろな人がいて、世の中じゃないですか。自分が、良くも悪くも世間知らずなことに気づいたんです。たくさんの世界を知りたい！　と思うようになって。それが、きっかけのひとつですね。アイドルって、若い頃から仕事をしている人が多いので知らないことがたくさんあるんですよ。この前も、子どもの塾に行って、「レジュメを見てください」って言われたんですけど、「レジュメってなに!?」となってしまって。だから、いろいろな人に会って、いろいろなことを知りたいんです。すっごい変な人にも会ってみたい（笑）。

――変な人、というのは……？

藤本：前に、ひろゆきさんと対談させていただいたんですよ。私もアイドルのときには、「2ちゃんねる」にいろいろと書かれていたので、その掲示板を作った人に会ってみたい！　と思って。ひろゆきさんも、変わっている方じゃないですか。なので、面白かったですね。

――実際にYouTubeを始めてみて、周囲の反響はいかがですか？

藤本：「元気をもらいました！」という声が、かなり多いです。時勢的にも気が滅入るようなできごとが多いせいか、みなさん疲れていらっしゃるのか。私は基本的にポジティブな人間なので、動画を観て明るくなっていただけたら。あとは、私の感覚がみなさんと近いことに驚かれることが多いです。

――子育てに、芸能活動……多忙な生活を送っていらっしゃる藤本さんですが、YouTubeが占める割合というのは？

藤本：YouTubeは、「仕事」のカテゴリーでまとまっていますね。基本的には、家族のことがメインにあって、そこからどう組んでいくかを考えています。YouTubeは、自宅で撮影することができるのでありがたいですね。収録日が取れないときは、「家で撮影しよっか」という感じで。型が決まっていないんですよ。

――チャンネル自体にも、あまり決めごとは作らず？

藤本：こうしよう！とかは、決めてないですね。普通にしているところを、撮っているだけというか……。今って、ブログとかインスタとか、自分を発信する場所がたくさんあるので、日常を切り取ることにそこまで戸惑いがないんですよね。SNSで発信するなかの一環として、YouTubeがある感じで。重く考えずに、向いてなかったら、やめようかなと。だから、好き勝手言わせてもらってます（笑）。

――旦那さん（庄司智春）も動画に登場されていますが、企画の相談をされたりするのですか？

藤本：あまり、相談はしないですね。撮影してみて、使えそうだったら、使おうかみたいな。私たちは、仕事のために家庭を回さないというスタンスなので。家庭のなかに、仕事がある。YouTubeを始める前から、家族の動画は思い出として撮影していたんですよ。

　だから、どこかにわざわざ行くとかもしないです。「〇〇をするから、念のためカメラを回しておく？」って感覚で。なので、ボツになっている動画もたくさんありますね。「あれは、使えないよね」「私、めっちゃキレてるじゃん！」みたいな（笑）。YouTubeで疲れるなら、やらないと決めているので。やりたいときにやって、やめたいときにやめられるのが、YouTubeのいいところでもあります。

――動画内でも、「YouTubeには、無限の可能性がある」とおっしゃっていましたね。

藤本：はい。テレビは基本的に、チームプレイじゃないですか。でも、YouTubeは0から100まで自分で決めることができる。またちがう楽しさがあるんですよ。それに、自分でチャンネルを持とうと思えば、誰でも発信者になれるのも夢がある。今、人気を集めているYouTuberの方々も、最初から知名度があって……というわけじゃないですもんね。それなのに、ここまで勢いがあるというのがすごいです。

――では、最後に。今後、YouTubeチャンネルでやってみたいことを教えてください。

藤本：チャンネルを開設した当初は、いろいろな人にお会いしていたのですが、コロナ禍になってから途絶えてしまったんです。だから、もっとたくさんの人にお会いしたいです。芸能人だけでなく、一般の方とも話してみたくて。悩み相談を受けることが多いので、相談を聞きたい。私の毒舌に耐えられる人がいれば……（笑）。あとは、いつか海外にも行きたいですね。コロナが収束してくれたら、できることも増えていくのかなと思います。