謎だらけのVTuber・鳩羽つぐが2年ぶりに動画を投稿 12秒の沈黙が意味するものとは

 2022年3月9日、バーチャルYouTuberとして2018年から活動してきた鳩羽つぐが、約2年ぶりとなる新たな動画を投稿した。

 鳩羽つぐは2018年2月28日に初の動画を投稿し、「鳩羽つぐです。西荻窪に住んでます」という自己紹介や、純粋無垢で儚げな少女の姿とどこか妖しげな“部屋”の雰囲気、滅多に言葉を発さない異端さが見る者の心を掴み、その後投稿された複数の動画は、さらに視聴者の頭を混乱させ、謎が謎を呼び、インターネットにいる好事家たちの考察対象となった。

鳩羽つぐです

 部屋の様子や雰囲気から「彼女は誘拐されているのか」「誰がこの動画を撮っているのか」といったものや、展開されている動画にナンバリングがされていることから「YouTubeで飛ばされた#01と#02の動画はなんなのだ」といったもの(Twitterに#01と#02らしき動画はアップされているが、音声が入っておらずこれも不気味さがある)など、推理合戦が繰り広げられていた。

 2022年現在、市民権を得たと言っても過言ではない「バーチャルYouTuber」。だが、2018年当時の「バーチャルYouTuber」は、数多くの視聴者にとってはまだ“得体の知れないもの”であり、市場も成熟しておらず、インディペンデントな活動形態から個性的なプレイヤーが続々と登場していた時期。鳩羽つぐはそんななかで誕生した“突然変異種”だった。

 同じく2018年には中編動画制作のためのクラウドファンディングを実施し、約2082万円を集めたり、同年11月にはゲーム会社のYostarがスポンサーにつくなど、先々の大きな展開を予測させたが、そこから約1年もの間、YouTubeの投稿はストップ。Twitterで複数の動画を上げるにとどまり、2019年10月に「散歩」と題した動画を公開。同年11月の「銀杏」、2020年1月の「title_0」と2ヶ月に1本のペースでアップを続けた。

散歩

 このペースで運用が続けられるのかと思ったが、またしても動画の投稿はストップ。今度はTwitterも長らく更新されないことや、最後にアップされた動画のタイトルが「title_0」ということもあり、さまざまな憶測が飛び交っていた。

 約2年ぶりに公開された動画「room」は、概要欄に動画のナンバリングもされていなければ、鳩羽つぐが言葉を発することも、顔を見せることすらもない。机に突っ伏している彼女の姿とともに、ただ12秒の沈黙がそこにある。

 これが意味することはなんなのか。また彼女の定期的な動画投稿は再開されるのか。現時点ではなにもわからない。

 だが、鳩羽つぐは帰ってきた。バーチャルYouTuberという言葉がかつてよりも多くの人に届くこの時代に。大多数の“バーチャルYouTuber好き”が、おそらく彼女の名前を知らない世界に。いまはただ、その事実だけがそこにあり、それ以外の余白は、私たちに委ねられているのだ。

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