新シーズン開幕の『Apex Legends』 「デファイアンス」の評価点と課題点

「デファイアンス」への評判は上々。その一方で……

 アップデートから数日が経過した現在では、「デファイアンス」に対する評判も各所から聞こえ始めている。主なものでは、「新シーズンってだけでワクワクするし、モチベーションも復活する」「マッドマギーは強すぎず、弱すぎずの丁度いい性能」「『コントロール』が面白い」などの声があった。

 アップデートのたびにプレイアブルキャラクターが増えていく類のPvPタイトルでは、新たに追加されたキャラがOP(オーバーパワーの略。ゲームのバランスを壊してしまうほどの力を持っている意)で、環境を制圧してしまうケースが少なくない。プレイヤーの新パッチに対する高揚に水を差す、この手の慣習は、可能なら盛り込まれないほうがいいというのが実際のところだ。その意味でマッドマギーの追加は、評価に値する内容だったと言える。今後、分析や対策が進むことで立ち位置が上下する可能性はあるが、現時点では高揚感に水を差す事態にはなっておらず、むしろ大型アップデートの風物詩として活用法に対する研究も楽しまれている実態がある。

 一方で、好評が目立つ期間限定の新モード「コントロール」については、常設すべきとの声も日に日に大きくなっている。『Apex Legends』では過去、期間限定で追加された要素が基本システムに定着した例もあるため、可能性は大いにあると言えるだろう。なかには既存の「バトルロイヤル」や「アリーナ」、もしくはその両方以外のモードが必要ないと考えるプレイヤーもいるかもしれない。けれども、実際に遊ぶかはそれぞれが都度決めればいい話であるはずだ。

 しかしながら、運営はどのモードの充実に力を割いていくべきか、慎重に考えなくてはならない。もしこれまで「バトルロイヤル」を遊んでいたプレイヤーの多くが「コントロール」へと流れてしまったら。『Apex Legends』がバトルロイヤルジャンルのメインストリームである時代は終焉してしまうかもしれない。

 そして、再三再四にはなるが、言及しておかなくてはならないのが、アップデートのたびにバグを量産してきた『Apex Legends』の“伝統”についてだ。今回のパッチでも、オリンパスにおけるフレームレートの低下が、PS4/Xbox One/Nintendo Switch版で報告されている。

 運営がバグの存在を認知しているため、近々で修正パッチが配信され、解決に向かうと予測されるが、先述の新規キャラクターがOPとなりやすい問題同様、プレイヤーの体験を悪化させている点には目を向けておかなければならない。ハードのスペック向上に由来する表現のひろがり・システムの複雑化といった要素が開発を難しくしていることは理解できる。しかし、アップデートのたびに発生するバグを、プレイヤーが“伝統”としている点には、開発側の矜持を以て対応してほしい思いがある。

 また、2021年9月に発表されて以来、先延ばしになっているタップストレイフの削除だが、今パッチでは折衷案の弱体化も保留となっているようで、これまでどおり使用できるとのことだ。バグの修正や、3か月周期で次々来るアップデート、プレイヤーの声、その他の事案のどれが対応を遅らせているのかは不明だが、あるはずだった変更がなかったことになっている状況に、プレイヤーからは戸惑いの声も上がっている。

 現在では、ゲームカルチャーを代表するタイトルの一つに数えられることも多い『Apex Legends』。覇権を握るタイトルだからこそ、既存プレイヤーを大切にする運営に期待したい。

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