トーク術と抜群の歌唱力でスターダムを駆け上る、にじさんじ・戌亥とこの安定感
ゲーム強者が揃うにじさんじにおいては、彼女はゲームをやらない、苦手とする部類に入るだろう。複雑かつ速さを求められるバトルロイヤル系のゲームには手を出さず、『Minecraft』『あつまれ どうぶつの森』など、自分のペースでゆったりと進められるゲームを選ぶことが多い。
特に『Minecraft』は、デビュー直後からプレイしはじめ、はやく慣れようと個人サーバーを立ち上げて操作を覚えようとしたゲームだ。現在ではその個人サーバーは「いぬいキングダム」という名前で運用され、ホロライブの星街すいせい、ロボ子、百鬼あやめや、個人VTuberとして活動している粛正罰丸、星月せい、天城てんといった、にじさんじ外のバーチャルタレントとコラボする際のサーバとしても使われ、「夜釣り配信」と称した雑談配信の舞台にもなっている。これまでの配信を通して彼女がもっともプレイしているゲームだ。
【Minecraft】寝る前にちょっとだけゆったりおしゃべり【戌亥とこ/にじさんじ】
戌亥とこというタレントのおおきな武器であり、個性といえるのがその歌唱力だ。掠れやくすみを多く感じさせてくれる彼女の声質は、ポップスでもロックでもエレクトロでも存在感を放ち、これまでに歌ってきたカバー動画や歌配信を通して多くのファンをつかみ取ってきた。
彼女と声色が近しいAimerの楽曲「RE:I AM」のカバー動画は現在1000万再生を超え、にじさんじ所属のタレントがカバーした歌動画でも指折りの再生数を誇っている。
RE:I AM/Aimer covered by 戌亥とこ
2020年12月には初めてのソロライブ『Inui Toko 1st Solo Live "who i am"』を開催、にじさんじの中では樋口楓、月ノ美兎、静凛、剣持刀也、葛葉らと共に数少ない「ソロでのライブ公演」を敢行したタレントのひとりでもある。そんな彼女も2021年から本格的にソロシンガーとしてオリジナル楽曲をリリースしており、着々とキャリアを踏みつつある。
彼女がにじさんじを知ったのは、樋口楓のファーストライブとなった『Kaede Higuchi 1st Live“KANA-DERO”』を見てからだ。
それまでにじさんじに触れていなかったどころか、「配信でなにをすればいいのか」「配信にはどういうものが必要なのか」ということも一切知らなかった彼女。体当たりでオーディションを受けようと決意させるほどの衝撃を与えた先輩・樋口楓だが、これまでYouTubeの配信上ではほとんど絡んだことがない。
その代わりに『Virtual to LIVE in 両国国技館 2019』『Vtuberロック革命2021』などのライブイベントや配信企画で共演し、前述した自身のソロライブにゲストとして出演オファーを出すなど、彼女たちは音楽を通して交わってきた。現在も良好な関係を築けているようで、ソロの雑談配信でリスペクトを送り合うほどだ。
『Vtuberロック革命2021』では樋口楓、緑仙、加賀美ハヤト、不破湊といった出演メンバーで練習していたところ、「みんな歌うまいねんもん、鬱になるわぁ」とリハーサルを通して落ち込んでいたようだが、緑仙からは「それだけ歌われて落ち込まれたら、こっちが困っちゃうよ!」とツッコミが飛び、いざ本番になると5人全員がお互いのパフォーマンスを褒め合いながら進行していくという温かな配信になった。
「あたしは緊張をまったくしないタイプ」と口にするように舞台度胸は申し分ない。こと「歌を生で披露する」という点に関しては、彼女のパフォーマンスは抜群の安定感を誇る。今後開催されるであろう新たなライブイベント、彼女の2度目となるソロライブ、そして今回惜しくも中止となった『FANTASIA』リベンジ公演があるのであれば、そのパフォーマンスはぜひ堪能すべきだろう。