動画配信サービスに求められているコンテンツとは? ABEMA年間ランキングから分析
12月16日、「ABEMA」の2021年年間ランキングが発表された。これは2021年1月1日から11月30日までに放送、配信された番組の視聴データをもとに年代、性別、視聴デバイス別の視聴数やコメント数など、さまざまな側面からランキングにしたもの。
今回は、このランキングからわかるABEMAの人気コンテンツの傾向や、視聴者が動画配信サービスに求めていることを紐解いていく。
恋愛番組×考察を楽しめる『オオカミ』シリーズの強さ
2021年、年間総合視聴ランキングで1位となったのは『恋とオオカミには騙されない』。2017年から配信を開始した参加メンバーの中に、恋をしない"嘘つき"オオカミが潜んでいるというルールのもと、若者たちの恋模様を追いかけるという人気恋愛番組『オオカミ』シリーズの9作目だ。
ランキング1位を獲得した理由については、『恋とオオカミには騙されない』から始まった“オオカミ”が男女どちらにいるかわからないという新しい仕掛けや、SNS総フォロワー500万人以上を誇るZ世代のカリスマ・なえなのの参加など、放送前から注目度が高かったことが考えられる。実際、初回の放送からTwitterではトレンド入りを果たすなど、注目度の高さが話題となっていた。また、同シリーズの10作目『虹とオオカミには騙されない』も3位にランクイン。シリーズそのものが人気を博していることが見て取れる。
『オオカミ』シリーズには、恋愛番組としての楽しさと考察系ドラマのようなルール、2つを掛け合わせたほかの恋愛番組にはない楽しみ方がある。恋愛番組ならではのキュンとするシーンを楽しみながら、恋をしない"嘘つきオオカミ"を予想立て、周りの人と意見を交わし合いながら観ることができるのだ。参加者の年齢に囚われることなく、幅広い層の視聴者がそれぞれの楽しみ方ができることも、多くの支持を得ている理由なのではないだろうか。
視聴者を放置しないABEMAの配信方法
動画視聴において、いつから見始めても置いてけぼりにならない配信方法は人気を支える理由の1つだろう。ABEMAの人気コンテンツでもある恋愛番組を例に挙げて見てみよう。
恋愛番組は、独自ルールがあり、回を重ねるごとに参加者の関係性が移り変わることから、途中から観始めるハードルが高くなってしまいがち。その対策としてABEMAで配信中の恋愛番組の多くは、定期的に振り返りコンテンツが配信されたり、各話の見逃し配信をまとめて放送したりしているため、途中から観始めた人でも参入しやすい。
現に、年間総合視聴者数ランキングの1、3位には『オオカミ』シリーズ、8位から10位には『今日、好きになりました。』(以下、『今日好き』)シリーズなどの長年に渡って配信されている恋愛番組がランクイン。資料によると2021年には延べ2800万人がABEMAの恋愛番組を視聴したという結果も出ている。ABEMAのなかでも恋愛番組が人気ジャンルとなっているのは、「途中からでも話についていきやすい」という単純な部分をうまくフォローできているからではないだろうか。