「男女の恋を追いかける」はもう古い? 2022年の恋愛番組はどうなる? 恋愛番組座談会【2021年版・後編】

2022年の恋愛番組はどうなる?

ーー2021年の流れを汲んで、2022年はどんな傾向の番組が生まれると思いますか?

Numoto:大人向けの番組として結婚がテーマのものや、性的にちょっと突き抜けた作品は増えてくるのかなと思います。最初のシーズンの『オオカミ』からもう数年経っていて、そこから観ていた子ももう大学生、社会人と大人になってくる時期。その成長に合わせた作品が出てくるんじゃないかなと。

 また、同性婚や事実婚のように、多様な結婚の形にフォーカスを当てるドラマや映画も多くなってきました。その価値観の変化を一緒に提示してくれる恋愛番組も出てきそうですよね。

於:たしかに。恋愛の多様な形を示すもの、男性と女性だけではないものは増えていく気はします。もちろん、デリケートな問題のため、番組の構成や出演者への配慮など、既存の番組よりもさらに注意深く作る必要はあると思いますが。

ーー「恋愛番組=男性と女性の恋を追いかける」という刷り込まれた潜在意識はありますよね。

Numoto:男女の恋愛を求めるものも、多様な性の恋愛を求めるのも、上手くバランスをとりつつどちらも楽しめるコンテンツが溢れるといいですよね。キュンとできるものもあるし多様性を示してくれるような作品も増えれば、一番良いコンテンツの育ち方だと思います。まだ発展途上ではありますが。

於:そうですね。来年あたりは、ちょうどその過渡期に差し掛かるんじゃないかな。

ーーそれでいうと今回の『バチェラー』が男性優位的の形式を崩したのかなと。いままではバチェラーに集まってくる女性に対して、「男性が選ぶ」という恋愛要素が強かった気がしますが、今回はバチェラーが明かされず募集したため、出演者と同じスタートラインだった。

佳香:男性から選ばれるだけが幸せじゃないというメッセージは感じますね。女性も選ぶんだっていう。

於:「黄皓さんじゃない方がよかった」と正直に言っている人もいましたしね。

佳香:あとは「手を繋ぐ」とか「告白する」など、順を追って純粋な恋愛の形を味わえる作品は、主な出演者が高校生のものとか、演出がかなり入っているものになりそう。大人のリアルを描くとなったらジェンダーのこととか結婚・出産とか、現実的に考えることが多くなるからそっちの方が共感を生みやすい。

ーー『今日好き』とか『恋ステ』を30代くらいの人が観ても面白いと思えるのは、純粋な恋愛を描いているからこそなんでしょうね。大人になったら恋愛にステップみたいなものがなくなるじゃないですか。「まずは手を繋ぐところから」のような。『今日好き』とか『恋ステ』はステップを踏んでくれるから、「あの時の気持ち」を思い起こさせてくれる。

佳香:結婚となると恋愛よりも価値観に寄り添うことなどが重要になってきますけど、高校生の恋愛は「笑顔が可愛い」とか「面白い」とか本当にストレートで純粋な気持ちで人を好きになることができますもんね。恋愛番組というリアリティショーでありながら夢を観させてもらっています。

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