『Weekly Virtual News』(2021年12月20日号)
新人もベテランも、VTuberは師走を駆け抜けていく
『SANRIO Virtual Fes in Sanrio Puroland』が無事に2日間の公演を終えた。VRChatにて、様々なバーチャルアーティストが集結した一大フェスは、大盛況のうちに幕を閉じた。まるで今年のVTuberの総決算がなされたような雰囲気ではあるが、VTuber業界はむしろ、年末年始に至るこの時期に大きな動きが見られる。先週も例外ではなかった。
とりわけ大きな話題となったのは、12月15日に発表された「バーチャルシンデレラプロジェクト」だろう。ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)とbilibili動画、そして指原莉乃というビッグネームが参画した、1年間限定のバーチャルアイドルグループプロジェクトである。
メンバーは先行デビュー組とオーディション組で構成され、先行デビュー組として神楽めあ、花園セレナ、緋赤エリオの3名が発表された。この3名はいずれもbilibili動画で活躍しているという点と、最初のキャラクターデザインはParyi氏である(界隈的には「同じママを持つ」という表現になる)点で共通している。日本と中国を中心にグローバルな活動を志向する同プロジェクトにおいて、この人選は決して偶然ではないだろう。
2021年のSMEは、VTuber業界へ大きく進出している。7月にはバーチャルタレント育成&マネジメントプロジェクト「VEE」を始動。50名を超えるバーチャルタレントのデビューを目標に掲げ、大規模なオーディションを開催したことで話題となった。
また、11月にはソニー・ミュージックレーベルズがVTuberプロジェクト「VERSEⁿ」を始動した。こちらは赤坂アカをはじめとした著名なクリエイターがキャラクターデザインとして参加しているほか、『けいおん!』などで名を馳せた堀口悠紀子も参加したストーリー仕立てのアニメーションPVを公開するなど、一風変わった展開を見せている。SMEの本格参戦が、VTuber業界に今後どのような影響を与えていくかは注目に値するだろう。
12月17日にデビュー記念グッズを発表した「秘密結社holoX」こと、ホロライブ6期生の勢いも顕著だ。メンバー5名はまもなくデビュー1カ月を迎えるが、沙花叉クロヱがチャンネル登録者数60万人を突破し、業界最速クラスの伸びを見せている。ほかメンバーもチャンネル登録者30万~50万を記録しており、スタートダッシュは成功と言ってよいだろう。
ホロライブ6期生の特徴は数多くあるが、高いクリエイティブ能力と、メンバー同士およびリスナーとのフランクな空気感が共通項として挙げられるだろう。尖った配信も増えつつあり、12月14日にはラプラス・ダークネスが博衣こよりのASMRを「実況」するという配信を敢行し、その凄絶さは大きな話題となった。デビュー1カ月経たずしてこの勢いなので、今後さらに加速することは間違いないだろう。