『ポケモンGO』『ドラクエウォーク』『ピクミン』……行動経済学から見る、位置情報ゲームがヒットする理由
触覚を感じられる未来へ?
――今後、ゲーム世界と現実世界がミックスしたゲームはどのような発展が予想されますか?
犬飼:現実世界と仮想世界をうまく融合したAR型ゲームの成功の鍵は、キャラクターやコンテンツの持っている魅力に限りなく依存しています。ポケモンやドラクエのような、本来人気のあるタイトルから位置情報ゲームに参入するケースは増えるかもしれません。
――人気タイトルから派生した作品が今後も支持されやすいのでしょうか?
犬飼:そうとも限りません。例えば“Roblox(ロブロックス)”のように、ユーザが自ら作り出す多種多様なゲームがプレイできる新しい経済圏を持っているようなプラットフォームも登場しています。近い将来には、Robloxのような経済圏の中に現実世界の空間をうまく取り入れて、VRとARを超えた新しいスタイルのゲームも出てくるかもしれません。
――ヒット作になるためには、どのようなポイントが求められますか?
犬飼:キーになるのは身体性かなと思います。私たちの身体をゲームに取り込んでいく仕掛けをうまく作ることが、新しいゲームの成功の秘訣かもしれません。
――身体性はどのようにアップデートしていくと予想されますか?
犬飼:すでに心拍や呼吸といったバイタル情報や触覚などはデジタル化されて通信技術に取り入れられています。こういった情報がゲームのプラットフォームに入った時、現実と仮想を自在に行き来するようなゲームが作られるかもしれません。現在、私たちは「人間の身体が生み出す様々な情報が、時空間を超えて共有した時に私たちの世界にどんな変化がもたらすのか」について研究するプロジェクト“デジタル身体性経済学”に取り組んでいます。もちろん設計思想など含めて倫理的な面に注意を払う必要はありますが、このプロジェクトが応用されると、そういった魅力的なゲームが登場するのではないかと期待しています。
(画像=Unsplash、Pikmin bloom公式より)