渋谷ハジメがにじさんじ元一期生として苦難を乗り越え、スポットライトを浴びるまで

 にじさんじ元一期生8人による『initial step in NIJISANJI』が10月31日に開催され、現地会場やネット配信を通じ、多くのファンが8人の雄姿をしっかりと目にしたとおもう。

 筆者もそのイベントに足を運び、ライブレポートを執筆した。鈴谷アキの初3Dとなる舞台であり、そこに注目したファンも多かったはず。レポート中では触れることはなかったが、もう一人大きな変化を感じさせるライバーがいた。それが、本稿の主人公である渋谷ハジメだ。

 渋谷はデビューから3年以上が経った今年9月には『Rin Shizuka Solo Event "Recollection"』にて初3Dお披露目したばかり。そこから期間をおかずに再びステージに立った彼は、ソロで披露した「曇天」「成るがまま騒ぐまま」での堂々とした歌いっぷりや、ほかのメンバーとの歌唱でもしっかりと映えた声で聴かせてくれ、最初期を知るファンは変化を、最近彼を知った方は驚きを、様々に与えるパフォーマンスだった。

 現在でもバーチャル関西に在住していることもあり、標準語を基本としつつ、関西訛りが混じった口調で会話していく。アニメ・ゲーム・特撮・エロゲー・マーベルシリーズ好きという正統派な文系オタクらしさが感じられ、車(バイク)・料理・筋トレ・動物など、男性がハマってしまいそうな趣味を一通り網羅しているという多趣味ぶり。

 雑談配信で話題に挙がることも多く、落ち着いたトーンで会話が続く配信をみていると、「こういう友人いるよな」と親近感をもちやすい男性ライバーとも言える。裏人格の渋谷オワリや猫股・神様でもある始など、隠れ人格(キャラクター)も多いのも特徴だ。

 バーチャルタレントがゲームの生配信をするのがまだ物珍しかった2018年初頭のころ、彼が主戦場としたのは深夜帯での配信であった。いまでこそ多くの方々が配信しているが、渋谷ハジメと静凛の元一期生の2人、元ゲーマーズの叶も加わった3人が深夜帯での配信を好んで放送し、その後3人は「深夜三傑RKS」というコラボ名として活動を増やしていくことになる。

 『PUBG』を中心に『Minecraft』『天鳳』などをプレイし、勇気ちひろ、森中花咲、宇志海いちごらだけでなく、当時のCOOだった岩永太貴(現:SLEE)も配信に配信に加わるなど、いまに続くライバー&スタッフ陣の距離感の近さや、3人のユルいムード感と時に刺さるボケとツッコミはいま見ても面白く見れる。

 当時赤羽葉子と2人だけだったゲーマーズ組の叶が、「2人ともゲーマーズ入ればいいのに」と口走ることもあったが、それも頷けるほどのゲーム好きな素質が彼の配信にはある。『League of Legends』『Apex Legends』などを頻繁にプレイし、静凛と同様にゲームそのものを楽しみ長時間に渡ってプレイすることが影響しているといえよう。にじさんじ内で共有サーバーを使って遊ぶ『Minecraft』『ARK』では、自身の資材・アイテム・武器などを提供する場面が多く、ほかのライバー配信でも頼られる存在となっていた。

 麻雀は初期から打つことがあったが、『雀魂』『天鳳』で素晴らしい実力をもっていた千羽黒乃に教えを請い、「4位になったら即終了」配信を通して集中的に麻雀と向き合ったことで、2021年年初に開催されたにじさんじ内大会『新春!にじさんじ麻雀杯2021』で見事優勝を果たした。

【ふりかえり】麻雀大会お疲れさまでした!【にじさんじ/渋谷ハジメ】  

 2018年2月8日、この日はにじさんじ初の配信となったMirrativによるリレー配信の日であり、現在確認できる彼のYouTubeチャンネル「渋谷ハジメのはじめ支部」でもっとも古い動画も同じ日である。Mirrativを中心にして元一期生が配信していくが「YouTubeで配信がしたい」とスタッフ陣に相談し、にじさんじライバーとして一番最初にYouTube上での生配信を試みたのだ。

 YouTubeでの配信に関しては熟知しているスタッフが当時おらず、ほかのメンバーが配信中にトラブルが起きれば彼がすぐさま駆けつけるという状況に加え、そもそもパソコンに疎いメンバーもいることで基礎的な知識も教えることもあるなど、「サポートセンター」と呼ばれる状況だった。

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