始まりは1台のゲーミングチェア。「人起点」のビジネスで成長するMSYがファッション×ゲームで目指す、新たなゲームシーンの創出

MSYの新たなゲームシーンの創出

変わりつつある、日本のゲーム業界

ーー「グッズっぽい」というのは、具体的にはどういったことなのでしょうか?

秋山:キャラやゲームタイトルのロゴを大々的にプリントする、という手法がメインで、洋服の要素よりも広告宣伝やPRの意味合いが強くなっているように感じています。ファングッズとして記念やイベントで着ていくシーンは連想できますが。

『レインボーシックスシージ』×「GRAPHT」コラボアイテム

 僕らとしてはそうではなく、ゲームの世界観をしっかり反映しつつも、毎日着ることができ、さらにはファンのアイデンティティーを確立できるようなアイテムを作りたいと考えています。そのために、パブリッシャーからもらった素材をそのまま使うのではなく、イチからグラフィックを起こすといったことをしています。直近では『レインボーシックスシージ』とコラボして、全体のスタイリングを意識したアイテムも出す予定です。

ーー企業によっては、「提供素材以外は使うな」といったパブリッシャーも多いと思います。

秋山:僕らは売上計画になると分かっていても、そういったパブリッシャーさんには根気強く提案を繰り返しゲームの世界観の表現を多くの人に伝えたいコンセプトを説明しています。ある種、アートを作るような感覚に近いのかもしれません。

 ただ最近では、「atmos pink」でのイベントや僕らが作ったアイテムを見て、パブリッシャー側からご連絡いただくことも増えてきました。パブリッシャー側もユーザーの属性や考え方が変わってきていることに気づいているんだと思います。

 さらにはファッションデザイナーで、ゲームが好きな方から「どのようにしてゲームをファッションに落とし込めば良いのか」といった相談も増えています。僕らはファッション領域に対して、そこまで得意ではないところからスタートしていますが、そういった相談や期待に応えることで、何か1つの指針を示すことができれば良いなと考えています。

ーー長年にわたり、さまざまな角度からゲーム業界に関わってきた秋山社長から見て、“eスポーツ後進国”とも言われる日本のゲーム業界の現状はどのように映っているのでしょうか?

秋山:大会の規模や賞金の額、配信の視聴者数などを見ると日本は先進国と呼ばれる韓国や北欧、アメリカなどには劣っているように見えるかもしれませんが、個人的には先進も後進もないと思っています。実際に海外のメーカーとやり取りをしていても、ゲーム領域において、任天堂やソニーを擁する日本は「ゲーム文化を作った国」として非常にリスペクトされています。確かに、PCゲームの普及は日本では遅かったというのも事実ですが、今では言語の障壁の低下やストリーミングの浸透などから、PCゲームも徐々に広がってきています。

 また、日本のゲームカルチャーにおけるコミュニティーの数や密度は、他の国以上だなという実感もあります。ある種ストリートで、いろいろなカルチャーが混ざり合いながら、身近なところから新しいものがたくさん生まれ、その楽しさがコミュニティーを通じて迅速に共有されている。

ーーそういった状況の中で、MSYとしては今後、どのようなことをしていくつもりでしょうか?

秋山:新しいファンとの接点やシーンを作るために、どんどん仕掛けたいですね。その1つに、ファッションがある。他にも「atmos pink」のように、いろいろな領域とコラボしたイベントなどを行っていくつもりです。ゲーム×音楽やゲーム×食など、掛け算はいくらでもある。可能性は無限だと思っています。

■「GRAPHT GAMING LIFE」×『レインボーシックス シージ』概要

 「GRAPHT GAMING LIFE」はアクションシューティングゲーム『レインボーシックス シージ』をベースにデザインしたコレクションを展開。10月22日より、GRAPHT公式ストアGAMING CENTER by GRAPHT 楽天市場Amazon.co.jpをはじめとしたオンラインストアにて販売スタート。

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