『格闘DREAMERS』出身の宇佐美 正 パトリック、修斗デビュー戦で1ラウンドTKO勝ち 格闘技界の台風の目になるか
LDHが手がけた、世界で活躍するプロ格闘家を発掘するオーディション企画「FIGHTER BATTLE AUDITION」で合格を果たし、LDH martial artsの契約選手となった宇佐美 正 パトリックが、9月20日後楽園ホールで開催された『プロフェッショナル修斗 2021 VOL.6』で、ついにMMAのプロデビュー戦を迎えた。
宇佐美は大阪府出身の21歳。幼少期から打ち込んだ空手で頭角を現し、ボクシングに転向。高校時代にはアマ6冠を達成して東京オリンピック出場を目指していた期待のホープ。しかし「UFCチャンピオンになり、そのベルトを父親に捧げる」という夢を抱き、総合格闘家を目指して「FIGHTER BATTLE AUDITION」に参加。約200人の応募者のなかから見事に合格を勝ち取ったという逸材で、その様子はABEMAの番組『格闘DREAMERS』として放送され話題を呼んだ。
LDH martial artsからは、同じ「FIGHTER BATTLE AUDITION」で切磋琢磨した中村倫也がひと足先にデビュー。2R早々に左ハイキックでKOという劇的な勝利を飾っている。
パトリックも同じ大会でデビューの予定だったが、指のケガが完治せずに断念。今回が満を持してのプロ初戦となる。
「FIGHTER BATTLE AUDITION」で合格を果たしたのは、中村倫也とパトリックの2名のみ。先陣を切った中村倫也はオーディション開催前からLDH所属だったことを考えると、このパトリックこそが「FIGHTER BATTLE AUDITION」が発掘した選手であり、その背中にはすべてのオーディション参加選手たちの想いが込められている。
対戦相手は、フィリピン出身の“BADDASS JAPINO”ヨシ・イノウエ。2019年ライト級新人王に輝いている注目選手で、常に前に出る強烈な打撃と、隙を見逃さない巧みな組技を駆使したアグレッシブなオフェンスで会場を沸かせる32歳のブルファイターだ。
ボクシング仕込みの打撃だけでなく、MMAファイターとしての成長を見せつけた上で勝ちたいパトリックと、期待の新人を喰って修斗ライト級戦線でのアピールを狙うヨシ。どちらも負けられない一戦となる。
大会冒頭の入場式では、全選手を代表してパトリックがマイクを持ち、「(コロナ禍の状況で)試合中は声を出せないですけど、拍手で盛り上がれたらと思います」と緊張気味にコメント。すでに格闘技ファンからも大きな注目を集めているようだ。
ヨシ・イノウエVS宇佐美 正 パトリックはライト級5分2Rで行われ、19時4分に運命のホーンが鳴った。
まずはパトリックが距離を詰め、ロー、ミドルとキックで牽制。続く右のパンチ強打はヨシに避けられる。さらに右ロー、ミドルとキックを散らすパトリックにヨシがタックル。パトリックは踏ん張り、頭を抱えて膝蹴りを放って倒させない。
1分経過。なおも距離を詰めるパトリックの強烈な左フックがヨシの顔面にヒット。しかし、ひるまないヨシはそのまま組み付くが、パトリックは規格外のパワーでヨシの体を投げ飛ばす。再びヨシが詰めるとパトリックがついに捕まり、抱え上げられてテイクダウンを喫してしまう。
下になったパトリックだが、基本に忠実なガードポジションで体を密着させ、落ち着いたディフェンスをみせる。ケージ越しから、セコンドの岡見勇信とLDH martial arts代表取締役の高谷英之が冷静にアドバイス。パトリックはなんとか抜け出して立ち上がり、スタンド勝負へ。残り時間1分。鋭いローキックをヒットさせたパトリックは、強烈な左ボディ。これをまともに喰らい、前のめりに崩れたヨシにパトリックの追撃右パンチが3発入ったところでレフェリーが試合を止めた。宇佐美 正 パトリック、衝撃の1RKO勝利!
返り血を浴びながらケージに登り、腕を掲げて勝利の咆哮をする姿はまさに「THE SAVEGE」。規格外の獰猛さを見せつけたパトリックだけでなく、格闘技界がさらにLDH martial artsに注目せざるを得ない結果となった。
試合後にパトリックは「プレッシャーが凄かったッス」とホっとした顔をみせつつ、「まだスタートなんですけど、これからも気を抜かずに頑張っていきたい」とコメント。パトリックの夢は世界に通用するMMAファイターとなること。その途方もない夢が現実となる可能性を多いに感じさせる、鮮烈なプロデビュー戦となった。