『テイルズ オブ アライズ』は、テイルズらしさを見直した意欲作だーー3つの観点から考える

テイルズらしさを見直した意欲作『アライズ』

 2021年9月9日、バンダイナムコエンターテインメントから『テイルズ』シリーズ最新作の『テイルズ オブ アライズ』が発売された。本作は同シリーズの25周年を記念したタイトルであるのと同時に、これまでに築き上げてきた”テイルズらしさ”を見つめ直した意欲作でもある。

 今回は、歴代シリーズ経験者の観点から、そんな本作を実際に遊んだ所感について、「戦闘システム」「フィールドアクション」「仲間との交流」の3つの観点からお届けする。

コンボに重きを置いた爽快感溢れる戦闘

 『テイルズ』シリーズの戦闘システムは、作品を追うごとに進化を続けてきた。

 『テイルズ オブ アライズ』の戦闘システムについては、コンボが非常に重要な要素となっている。本作では、戦闘中の攻撃リソースとして「AG(アーツゲージ)」が採用されている。AGは術技を繰り出すたびに減少し、時間経過で回復する。リメイク版『リバース』以降取り入れられた「CC」とほぼ同じ役割のものだ。

 そのため、闇雲に攻撃を繰り出していてはAGが枯渇してしまい、コンボを繋ぎ続けることはできない。しかし、ほかのキャラクターが攻撃するタイミングに合わせて上手く連携すれば、コンボ数を増やしていくことが可能だ。また、AGを回復する手段として、キャラクター固有の特殊技やブースト回避などがある。これらを組み合わせてコンボを繋げていく。

 コンボの重要性が高い理由は、「ブーストストライク」にある。「ブーストストライク」は、コンボを重ねたり、敵のHPを減らしたりすると発動できる仲間との連携技だ。演出が派手なだけでなく、複数の敵に大ダメージを与えられる大技となっている。このブーストストライクを上手く発動することができれば、ある程度格上の敵との戦いもあっという間に終わらせることができるのだ。また、後述する戦闘後の掛け合いの廃止も相まって、戦闘のスピード感はシリーズ随一ではないだろうか。

 しかし、このような戦闘システムが真価を発揮するのは、4人目のパーティーメンバーが加入し、コンボを繋げやすくなってからだ。個人的な感想としては、それまでの戦闘はやや地味なものになりがちだった。 また、本作では敵の攻撃力が非常に高く、回復コストも高いため序盤の戦闘は特に苦戦を強いられた。

 筆者は4人目が加入するまで11時間程度かかったため、そこまでの戦闘を乗り切れるかどうかによって本作への評価が変わるかもしれない。

キャラクターの息遣いを感じる探索パート

 さまざまなインタビューでも言及されているが、『テイルズ オブ アライズ』は、”テイルズらしさ”を見つめ直した作品として開発されたそうだ。その試みは、フィールドアクションの変化にも表れている。

 前作『ベルセリア』までのテイルズは、フィールド上のキャラクターの動きに“硬さ”を感じることが多かった。あくまで同シリーズの看板は戦闘パートで、フィールドでの探索パートは添え物という印象さえあった。また、フィールドそのものも平面的でのっぺりとした印象が拭えなかった。

 一方、本作では探索パートのモーションが柔軟になり、キャラクターが生きていると実感できるようになった。移動中はダッシュのオン・オフが可能だが、その切り替えは非常にスムーズで違和感がない。さらに、ジャンプや泳ぎといったアクションも可能となり、これまでのシリーズでは行けなかったであろう場所にもアクセスできる。

 そして、フィールドは高低差がある立体的なものへと刷新された。ジャンプに失敗すると階下に落ちてしまい、モンスターに囲まれるといったシチュエーションもままある。探索パートにおけるこうしたリッチな操作感は、これまでの『テイルズ』にはなかったものだ。

 しかし、フィールド上の行動が自由になったぶん、「見えない壁」に阻まれるとなおさら違和感を覚えるのも確かだ。ジャンプで降りられる崖や泳げる池がある一方、目の前に見えているのに降りられない崖、泳げない池なども存在する。こうした要所で没入感が削がれてしまうのは少々残念ではある。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる