超過激なのに愛くるしい? 鬼越トマホークがYouTubeで発揮する「喧嘩芸」以外のポテンシャル
つかみ合いの喧嘩を止めに来た人間に核心を突いた暴言を浴びせる「喧嘩芸」で人気の芸人・鬼越トマホークのYouTubeチャンネル「鬼越トマホーク喧嘩チャンネル」が色々な意味で凄い。裸で腰にダイナマイトを巻いて突っ込んでくるような芸風は他では見ることのできない興奮があり、このチャンネルでは彼らの攻撃性と爆発力を120%味わうことができる。今回はその魅力に迫りたい。
「鬼越トマホーク喧嘩チャンネル」は親が寝静まったあと、深夜1時に放送されているお色気番組をこっそり観ているときの背徳感をそのまま味わうことができるようなチャンネルだ。サムネイル画像一覧を見ても週刊実話やSPA!などのゴシップ雑誌を意識しているとしか思えない色使いがさらに欲求を掻き立てられる。現役で夜の仕事をしている人たちにインタビューする企画や大人のテーマパークに潜入する企画など、全国のシャイボーイたちが知りたいけど知ることのできない「裏」の世界が広がっている。2人のルックスも相まって画面上の全てが「歌舞伎町」と化していく。
また真骨頂とも言える“ゲス企画”は外せない。他の芸人に関するヤフー知恵袋の質問を勝手に答える企画や、オススメ芸能事務所ランキング、フォローしたけどはずすにはずせないTwitterミュート推奨芸人ランキング、知名度の割に登録者が少ない芸能人YouTuberを晒し上げる企画といった、2人にしかできない下世話かつ他人の傷口に塩を塗るような企画ばかり行っているのだが、どれだけ毒を吐いてもそこに陰湿さや嫌らしさが微塵もないのが鬼越トマホークの魅力。後先を顧みない特攻スタイルは不思議な爽快感があるし、本当に楽しそうに悪口を言い合う2人にいつしか「愛くるしさ」すら芽生えてしまった。見た目は小便を漏らすほどコワモテなのに、筆者にはもはや2人がクマのプーさんの住人にしか見えない。
そしてただ「過激」だけのチャンネルではないのが「鬼越トマホーク喧嘩チャンネル」。過去4度、ラジオ『オールナイトニッポン0(ZERO)』のパーソナリティを担当しそのどれもが好評を博したことからも分かる通り、シンプルにトーク力がズバ抜けているのが鬼越トマホークの魅力。ただ2人が周りの芸人やタレントたちのことについて喋っているだけでも最高のコンテンツになっている。
特に、抜群の分析力を活かした「日本一詳しい芸人名鑑」は、彼らの忖度の無さとトーク力によって知らなかった対象芸人の魅力がどんどん引き出される神企画。レーダーチャートやパラメータで芸人の個性を数値化していく手法はほぼ「発明」と言ってもいい。動画を見終わるころには確実にその芸人のファンになってしまうこと請け合い。
「鬼越トマホーク喧嘩チャンネル」の中で筆者が個人的に一番好きな企画は、芸歴の近い芸人を呼んでのクロストーク。空気階段と今までのバイト遍歴を語る「バイトーーク」や、ウエストランド井口と語る「ここがスゴイよ!爆笑問題」や、ヒコロヒーと語る「松竹芸能勢力図」など、テレビではなかなかできない芸人ファンにとって絶妙に見たくなるコアな企画を充ててくれるのが本当にありがたい。
そして、どの動画を見ていても感じるのが彼らのMC力の凄さ。その出で立ちと芸風から鬼越トマホークはずっと攻撃型のイメージがあったが、ゲストの話をしっかりと傾聴し、視聴者が聞きたいこと、知りたいことをズバズバと的確に質問してくれる。彼らの一挙手一投足に嘘がないからなのか、ゲストの「心の許し方」がハンパじゃない。見ている側も実家のような安心感がある。見た目は小便を漏らすほど恐ろしいのに2人から「母性」すら感じてしまう。
「鬼越トマホーク喧嘩チャンネル」の最後に毎回流れる「俺らの収益のために寝落ちしながら垂れ流すように」という命令を聞いて分かる通り、彼らは気持ち良いほど「収益目当て」でやっている。そんな発言ですら気持ち良い。ぜひ大バズりして億万長者になってほしい。