「eSIM」ってなにが便利なの? 大手キャリアが続々対応開始

 KDDI(au)やUQ Mobileにて先日から提供が始まり、9月8日からはNTTドコモとそのオンライン専用プラン「ahamo」でも利用が開始される、組み込み型SIMカード規格「eSIM」。携帯キャリア各社が導入をすすめる同規格には、どのようなメリットがあるのだろうか。

差し替えないSIMカード

 現在多くのスマートフォンやタブレットでは、通信機能を利用するために「SIMカード」を利用している。指先に乗るほど小さなICカードのSIMカードには、電話番号や携帯キャリアの設定情報が書き込まれており、デバイス側面の「SIMカードスロット」に挿入して使う。スマートフォンの新規契約、あるいは機種変更などで、目にした方も多いだろう。

 一方でeSIM(Embedded-SIM:埋め込み型SIM)はデバイスに内蔵されたチップで、ユーザーが目にしたり取り外したりすることはできない。それではどのようにして利用するのかというと、ユーザがスマートフォンの設定メニューやアプリなどから自分でキャリアを選択し、電話番号や契約情報をチップに書き込むのだ。

 従来の物理的なSIMカードやSIMカードスロットは、小さなスマートフォンの本体設計における制限となっていたことも事実だ。しかしeSIMならチップをスマートフォンのどこかに内蔵しさえすればいいので、本体デザインの自由度が増したり、あるいはより大きなバッテリーを内蔵することも可能になる。

好きなタイミングで契約、キャリア乗り換え

 eSIMがその本領を発揮するのは、携帯キャリアの新規契約時だ。従来の契約ではショップの店頭に足を運ぶか、あるいはSIMカードの配送を待つ必要があった。何年も携帯キャリアを使い続ける以前のスタイルではそれでも良かったかもしれないが、乗り換えが当たり前となった昨今ではその手間は見逃せない。

 しかしeSIMでは、携帯キャリアのウェブサイトから契約プランを申し込めば、すぐに利用を開始できる。契約時の本人確認については、スマートフォンのカメラで本人を撮影し提出資料と照合する「eKYC(オンライン確認システム)」を利用。これにより、自宅からでもすぐに携帯キャリアのプランを契約し、利用することが可能になったのだ。

 eSIMを利用すれば、携帯キャリアをまたいだプラン切り替えがより簡単になる。また、メインのプランを物理SIMとして利用し、廉価なデータ通信用のプランをeSIMに書き込むという使い方もできる。さらに海外旅行で他国を訪れた際にも、地元の携帯ショップに行かなくても現地キャリアの契約プランを利用することが可能だ。

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