生体認証システムは「歯」の時代へ インドで反響を呼ぶ『歯認証』って?

生体認証システムは「歯」の時代へ

 指紋認証や顔認証、虹彩認証、静脈認証に続いて、新たな生体認証システムがインドで反響を呼んでいる。

 その注目の生体認証システムとして浮上したのは歯認証だ。インドのバーラ科学技術大学の研究者らは論文の中で、対象領域を抽出し、コントラスト制限付き適応ヒストグラム均等化(CLAHE)により画像の視認性を高める手法を提示するとともに、「Deepteeth」と呼ばれるアプリを紹介した。

 バーラ科学技術大学の研究者らが提出した「Deepteeth: A Teeth-photo Based Human Authentication System for Mobile and Hand-held Devices」と題した論文によると、スマートフォン上で動作する、歯の画像に基づいた認証システムの研究としては初の試みであるという。システムについては顔認証とほぼ同じ要領で動作。アプリを起動させてスマートフォンのフロントカメラで自分の歯を撮影するだけで、対象領域を抽出・強化。識別・認証プロセスを経て、撮影した歯が登録される仕組みとなっている。

 「Deepteeth」は少量の画像データで訓練可能な機械学習モデル(end-to-end、few-shot)を搭載。時間や手間を省いて、効率よく画像データを覚え込ませることが可能だ。もちろん、より少ない電力量で済むため、近年懸念されている地球環境への心配もない。

 もうひとつの特筆すべき点と言えば画像の分類精度の高さである。ここでポイントを握るのが正則化スキーマと呼ばれる手法であり、「75×75」のサイズの画像に最適化された識別埋め込み構造を獲得。研究者らは公開されているデータベース上で検証を行った結果、完璧な正確さで動作するという結論を導き出した。

 現地のITメディア「Gadgets 360」へのコメントにもあるように、機械学習の正則化という真新しい手法を提示するに至ったことは今回の研究における収穫であるという。今回見出された新手法は機械翻訳や自然言語処理といった他の分野への応用も期待できそうだ。

 歯認証システムをスマートフォン向けに最適化したのはバーラ科学技術大学の研究グループが初であるが、他の研究者の間で歯認証システムそのものへの関心が全く向けられてこなかったというわけでもない。例えば日本国内でも鹿児島大学の佐藤公則教授は生体認証システムを専門分野とするなかで、歯認証の実現のために動き出していたひとりであり、歯並びの画像を用いて個人を識別するシステムを開発していた。そのシステムの有効性はひとまず確認されたものの、その有効性が発揮され得るのは上下の嚙み合わせの画像を取得できた時のみという条件が課せられ、課題が残されていた。今回、インドの研究者らはfew shotの機械学習モデルを用いたことで、より少ない画像データで効率的に学習することを可能にし、歯認証研究の突破口を開いた。



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