侍ジャパン優勝を、北京五輪メンバーはどう見たのか 里崎智也「稲葉さんはきつかったと思うよ」

 野球日本代表“侍ジャパン”が8月7日、東京五輪決勝・アメリカ戦を制し、金メダルを獲得した。今大会で北京五輪以来、13年ぶりに正式競技に復帰した野球だが、次回のパリ五輪では再び正式種目から除外されることが決まっている。自国開催の千載一遇のチャンスにして、次がないプレッシャーの中、悲願を成就させた侍戦士たちの喜びは計り知れない。同時に、13年前「金メダル以外はいらない」と優勝を至上命題に掲げる故・星野仙一監督に率いられて本選に臨むも、願い叶わず4位に散った北京五輪メンバーたちは、この快挙に何を思ったのか。

 北京五輪戦士の中には、自身のYouTubeチャンネルを持ち、この偉業達成への思いを語っている者もいる。

 里崎智也は決勝当日、公式YouTubeチャンネル「Satozaki Channel」で生配信を実施した。優勝の瞬間、喜ぶわけでもなくじっと真顔でテレビ画面を見つめる里崎。アシスタントの女性からテンションを上げるように促されると、「どうするんか見てんねん。稲葉さんはそらきつかったと思うよ」と言い、「稲葉さん、4位からの逆襲だからね。稲葉さんとマー君、俺らと一緒の4位だからね」と、北京を共に戦った稲葉篤紀監督と田中将大の快挙を讃えた。

【東京五輪金メダルおめでとう‼︎】日本がアメリカに2−0で勝利!決勝戦を里崎が解説します!

 その直後、里崎は改めて「【東京五輪金メダルおめでとう‼︎】日本がアメリカに2−0で勝利!決勝戦を里崎が解説します!」と題した動画を投稿。里崎は「稲葉監督も本当にプレッシャーがあったと思います。勝たなきゃいけない中で勝つというのはこれほど難しいことはない。そういう思いは僕自身、北京オリンピックで感じました」と述べ、「そういう中でしっかり結果を残した侍ジャパンのメンバー、監督、コーチ、裏方さん、スタッフ、関係者含め、日本の強さを見せつけることができて、本当におめでとうございます。同時にありがとうございます」とコメントを寄せた。

 里崎と同様に、決勝に合わせて生配信を行ったのが、現在ともに栃木ゴールデンブレーブスでプレーする川﨑宗則と西岡剛だ。2人は決勝だけでなく、五輪で行われた日本戦5試合すべてで生配信を実施している。優勝の瞬間には「よーし!」「やったー!」と抱き合い、稲葉監督が宙に舞う時には、画面越しの選手たちと一緒になって“エア胴上げ”をしていた。西岡は「若い選手たちの姿を見て、もう一つギアを上げされてもらった。パワーをいただきました」と感謝し、川崎は「北京オリンピックのことを思い出して重ねたりするんですけど、やっぱり悔しかったですよ。ここの大会で勝つ難しさも知ってるし、プレッシャーも知ってます。なので、それがわかった上でのこういう配信だったんですけど、本当に野球から元気をもらった」と感慨に浸っていた。

 また、北京五輪の準決勝・韓国戦と、三位決定戦・アメリカ戦で痛恨のエラーを喫したG.G.佐藤も、自身の公式YouTubeチャンネル「【 GG佐藤】トラバースTV」を更新。「侍ジャパン金メダルおめでとう!!【東京2020】」と題した動画の冒頭、「ニッポン、オリンピック勝ちましたー!金メダルー!キター!キモティーー!金ーー!」と雄たけびを上げ、「長かった……13年。俺は苦しんだ。ついに悲願の金メダル。おめでとうございます」としみじみと語った。さらに、「星野監督。やっと金メダル獲れました。侍ジャパンやってくれました。星野監督見てましたかー!」と、天国の指揮官に報告した。

侍ジャパン金メダルおめでとう!!【東京2020】

 一方、今大会出場メンバーで唯一北京五輪を知る田中将大も、決勝翌日の8月8日に自身のYouTubeチャンネル「マー君チャンネル」を更新。「嬉しさと悔しさと感謝の金メダル」と題した動画で、「昨日オリンピック野球競技が終わって、金メダル獲ることができました」と照れ臭そうに金メダルを見せた。チームは優勝を果たしたものの、田中自身は唯一登板した準々決勝アメリカ戦で、4回途中3失点で降板するという不本意な結果に終わっている。そのため、「自分自身のパフォーマンスに関しては悔しさしか残らなかった」と話し、「チームでこの最高の結果を残せたことが心の底からうれしいということに嘘偽りはないんですけど、自分のパフォーマンスだけに目を向けると、何も喜べない結果になってしまいました」と複雑な心境を吐露していた。

 13年前の悔しさを知る元侍たちのコメントは、いずれも重みと味わいがある。五輪が終わり“侍ジャパンロス”の方は、彼らの動画を見て熱戦の余韻に浸るのも良いだろう。

関連記事