のんのアート作品も出品 日本円で取引できるNFT販売プラットフォーム「ユニマ」サービス開始
ブロックチェーン技術により管理されるデジタル資産・NFT(Non-Fungible Token=非代替性トークン)への関心が今年に入って高まりつつある。
そんななか、株式会社モバイルファクトリーはNFTトークン生成・販売プラットフォーム「ユニマ」のサービスを7月6日より開始した。
NFT市場は 2020 年より急速に拡大し、その市場規模は約3億3,800万ドルとも試算されている。市場の急成長に伴い、その透明性やセキュリティには幾つかの課題も指摘されている一方で、「ユニマ」はコンプライアンスに配慮したサービスを実現したという。
サービス開始に伴って開催された事業戦略説明会では、国内市場の現状と課題、また「ユニマ」の特徴と今後の計画について語られた。
766%の急成長を見せるNFT市場へ進出するモバイルファクトリー
株式会社モバイルファクトリーは鉄道をモチーフにした位置情報ゲーム『ステーションメモリーズ!(略称:駅メモ!)』の開発・運営で知られる会社。
そんなモバイルファクトリーがなぜNFTの分野に進出したのか。説明会は代表取締役・宮嶌裕二の「コロナ禍で(事業に)それなりのダメージを負った」との状況説明から始まった。
今回サービスインしたユニマは位置情報ゲームに並ぶ収益の柱にすること目標に据えているという。具体的には2025年に全事業合計30億円規模の収益が目標値として掲げられている。
NFTの市場動向を見てみると海外では今年2月から取引額が大幅に拡大。去年の同時期に比べて766%の急成長を見せた。今年6月には3D仮想世界内の土地がNFTにより約1億円で取引されたケースもあったという。国内の暗号資産取引市場を見ても2015年から2018年の3年間で約980倍となる成長を遂げている。
NFTでも同様の動きが続く可能性があると宮嶌さんは説明する。ユニマとしては今後、取り扱うIP資産の増加や関連企業との連携強化で、発展していくNFT市場の中に「ユニマ経済圏」を確立する構えだ。ユニークな取り扱みとしては『駅メモ!』内の駅をNFT化し保有するユーザーに現実の利用料の一部が支払われる仕組みの導入など、これまでの事業と絡めた展開も語られた。
ユニマでは暗号資産の必要なく、日本円で取引可能
続いて登壇した同社取締役執行役員の深井からはユニマのサービス概要が語られた。
ポイントはユニマでの決済が全て日本円で完結できる点だ。暗号資産取引所の口座開設や暗号資産・暗号通貨の購入は不要で、それらを管理するウォレットも必要ない。購入した段階での手数料も不要で、一般ユーザーに対して門戸を開いたサービスとなっている。
また、暗号資産取引はマネーロンダリングに使われることが問題視されている。ユニマでは本人確認を実施し、取引の安全性を担保するようだ。
今後のロードマップとしては、来月8月に二次流通でのクリエイターへの利益還元や取り扱うファイル形式の拡張、11月には各ブランドがオリジナルNFT販売サイトを作れるようにするバックエンドのSaaS提供が掲げられた。
法的観点から見たNFTの課題と未来
説明会後半では弁護士の関真也から法的観点から見たNFTの課題と未来について語られた。
「NFTを買う」という行為自体についても、どのような権利を手に入れるのか一般に理解はされていない。
NFTなどのデジタルコンテンツは法的に定義される「物」にあたらないため、所有権の対象ではない。デジタルコンテンツは著作権の対象として複製などの二次利用が制限・保護されることになる。
具体的には、NFTの絵画を購入した会社がロビーにその絵画を映し出すこと、NFTの書籍を購入した人がその書籍の朗読会を開くこと、NFTのキャラクターカードを購入した人が主催イベントの告知サイトにそのカードを公開すること、これらは著作権法に抵触するケースとして例に挙げられた。
もっとも、著作権者の許諾を得ればその範囲内で自由に利用できると関さんは説明する。NFTのようなデジタルコンテンツの取引においては、出品者はどのような権利を許諾しているのかを明確にし、同時に購入者はどのような権利を手に入れられるのか理解する必要がある。
関はこのような煩雑な権利関係について、ユーザーの知識を補完する仕組み作り、利用範囲や条件を明示し、更にその条件が出品者・購入者間で合意したものと法的に評価される仕組みがプラットフォームには期待されていると語った。その点から見てもユニマの仕組みは「NFTマーケットプレイスに求められる役割を担っていこうとされている」と感じたとして説明会は締めくくられた。