「スライムスープ」に「天空のステーキ」……話題の「RPGレストラン」は、VRで“味覚”を研ぎ澄ます新感覚エンタメだった

新感覚VR体験「RPGレストラン」に潜入

VRと試食を掛け合わせた斬新な体験に、思わず夢中になる

 いよいよメインコンテンツである2択クイズ形式の格付けゲームに突入した。

 初めはRPGレストランでの試食体験に慣れるため、ウェルカムドリンクのポーションを飲む練習を行なった。

 というのも、VR空間上の映像を見ながら実食を伴うので、口を開くタイミングや開け具合などの感覚を掴まなくてはならないからだ。

 魔術師が「ポンポン」と右肩を叩くのを合図に、ポーションを口まで運んでくれる。無事に喉を潤すことができた。

 これで要領を掴めたため、いざ本番の2択クイズに挑戦だ。

 しかし、支配人からはソムリエテストのような感覚に近いと聞いていたが、「僧侶の気まぐれサラダ」や「闇のおつまみ」など、ファンタジー世界の料理ゆえ、使われている食材も現実世界には存在しないものだった。

 もちろん食したことはないので、直感や想像力を働かせて推測していくほかない。これは相当難しいのではと勘ぐりつつも、出題されるクイズを前に「なんとか正解にたどり着きたい」という思いがこみ上げ、感覚を研ぎ澄ませることに集中した。

 目隠しをつけて食材を当てるクイズ番組のような体験だが、さらにVRというテクノロジーが加わることで、より「ワクワク」や「ドキドキ」といった感情が湧き、ゲームに没頭できる世界観の創り込みは画期的であった。

 また、食材を2択から正否を決めるということで、正解すればステータスをキープできるが、もし間違えてしまえば格付けが下がり、転生した自分の姿が変化していく演出も面白かった。

 装備品がなくなったり顔形が荒くなっていったりと、次第に雑多な風貌に変わっていく様は、さながらRPGゲームでの戦闘力や体力が低下していくようにも思えた。

xR技術にストーリー性を持たせることで、新たなエンターテインメントの可能性も

 全部で5問のクイズに応え、結果として筆者は4問正解となった。格付けは「伝説の勇者」からひとつ下げて「ただの勇者」になったものの、まずまずの成果を残すことができた。

 VRコンテンツ終了後、格付けに応じたお土産が用意されていたほか、RPGレストランのロゴ前では転生キャラクターにちなんだ武器を片手に、記念写真が撮れる時間も。

 思い出に残るような工夫が凝らされているのを感じつつ、お店を後にした。

 今回、RPGの世界を表現した臨場感溢れるVR空間に没入しながら、リアルな質感とゲーム体験を味わえる「試食エンターテインメント」を体感したが、とても将来性のあるものであった。

 VRやAR、MRなどテクノロジーの進化は目覚ましいが、これら最先端の技術を何と組み合わせるかによって、体験価値が決まってくるのではないだろうか。

 日常を送るなかでの食体験や住体験、購買体験に、xR技術を融合させ、さらにRPGレストランのようなストーリー性を持たせたコンテンツを加えることで、人の機微に触れる新たなエンターテインメントが生まれるのかもしれない。

■古田島大介
1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、ライフスタイル、エンタメ、カルチャーなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。

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