『Apex Legends』シーズン9は調整不足?  ボセックボウが話題の新シーズンを考える

 『Apex Legends』の新シーズン『英雄の軌跡』に盛り込まれた変更点が波紋を広げている。

 開幕から1週間後の5月12日には、プレイヤーからの不満噴出を受け、急遽アップデートを実施したが、それでもなお、SNS上には改善を望む声が散見される。はたして騒動は沈静化を迎えるのだろうか。

 本稿では、『Apex Legends』シーズン9を巡る動きを時系列で追っていく。騒動の動向はいかに。

もはや恒例行事?“バグだらけ”でスタートした9番目のシーズン

『エーペックスレジェンズ – 英雄の軌跡』ローンチトレーラー

 バトルロイヤルゲームにとって、シーズン切り替わりの前後は、界隈が大きな盛り上がりを見せる時期だ。ある人はより高いランクへの滑り込みを狙い、ある人は次パッチに盛り込まれる変更点を熱く議論、またある人はスタートダッシュを目指し、アップデート後すぐにランクマッチへと潜る。いまや有数の人気タイトルとなった『Apex Legends』も例外ではない。9番目のシーズン『英雄の軌跡』がスタートした5月5日の前後には、多くのプレイヤーが“数か月に一度のお祭り”に興じた。

 しかしながら、アップデートの直後にはログイン過多によると見られるサーバーダウンが発生。新シーズンを心待ちにしていた層の大部分が肩透かしを食らうと、その後もグラフィックの表示崩れや進行状況の初期化、ゲーム内通貨のリセットなど、プレイに致命的な影響を及ぼす不具合が立て続けに確認された(現在は対応済み)。

 こうした、いわば“バグだらけ”の状態で新シーズンがスタートするのは、今に始まったことではない。バトルロイヤルゲームすべてに共通すると言っても過言ではない悪習である。そのたびにプレイヤーは不本意な形でこの盛り上がる時期を過ごすことになる。『Apex Legends』シーズン9は、高揚とため息の入り交じる恒例の雰囲気のなかで幕を開けた。

すぐにプレイ可能な状態にはなったが… 新武器『ボセックボウ』に対する不満が噴出

 上述の致命的不具合にはすぐにパッチが当てられ、数日中にプレイが可能な状態とはなったが、新パッチのプレイ感がはっきりするに連れ、プレイヤーの批判の矛先は『ボセックボウ』へと変わっていった。

 『ボセックボウ』は、シーズン9で初登場となった、弓のような形状・仕様を持つ武器。単発でありながら連射性能に優れるうえ、発射音・距離による減衰も小さく、撃った弾は回収可能、高弾速という汎用性の高い武器だ。チャージ無しの場合、ダメージは25ほどと単発の割に控えめだが、チャージすることで70まで跳ね上がる(どちらも調整前・胴体ヒット時)。この数字は、ゲーム内の最大体力でも3発強で倒せてしまうものである。

I WILL BE THE RANK 1 BOCEK PLAYER!!! | Albralelie

(トッププレイヤーのAlbralelieによるプレイ動画。3分30秒ごろまでボセックボウの使用シーンが続く)

 そもそもPvPのシューティングにおいて、汎用性とダメージ量は相反する要素だと言える。例を挙げるならば、「1発のダメージは出るが、単発で連射速度の遅いショットガン」「連射性能に優れるが、ショットガンほどのダメージは出ないサブマシンガン」といった比較がわかりやすいだろう。しかし、『ボセックボウ』はその2つを兼ね備えており、「距離を問わず、継続的に高ダメージが狙えるうえ、敵にも見つかりにくい武器」となっていた。環境を破壊するほどの性能の高さに、多くのプレイヤーから不満が噴出した格好だ。日本では5月10日、「#弓おもんな消せ」がトレンド入り。新武器への批判は、一大ムーブメントとなっていった。

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