Z世代に支持される「オンラインのたまり場」のつくり方 『パラレル』が見る音声サービスの普及と可能性

Z世代に支持される音声SNS『パラレル』インタビュー

なぜ人はClubhouseを使わなくなってしまうのか

―― Clubhouseや「Zoom飲み」を見ていて思ったのは、流行り始めた1週間くらいは活発でしたが、だんだんユーザーが離れていってしまうなということです。

歳原:Clubhouseの場合、最初は「Clubhouseとは?」というトピックでみんな消費していましたよね。でも慣れてきたら終わってしまう。海外であれば宗教や政治などのトピックでずっと議論し続けている。それは、そういう文化が根づいているから。日本は文化が異なるので、違うきっかけを提供することが大事だと思います。

青木:逆に言えば、多くの人が「トピックさえあれば話したい」ということの証明だと思っています。みんな「話したい」気持ちはあるから、Clubhouseで「Clubhouseの使い方」などサービス自体のことをとりあえず話すという現象がありました。パラレルはそのトピックを供給し続ける仕組みが整っているので、きっかけは生まれやすいかなと思っています。

歳原:Zoom飲みだと「明日の夜、Zoom飲みしよう」と予定を合わせて集まりますよね。でもパラレルは予定を設定するって感覚ではないんです。勝手に部屋に入って、勝手に集まってくるようなラフさ。用事って習慣されづらいので。たとえば大学って、仲良い人がたまる場があったじゃないですか。部室とか、学食とか。なんとなく集まって、「みんないるなら、じゃあ飲みに行こっか」って講義が終わったら飲みに行くような。その感覚を実現したいと思ってるんです。

―― オンラインでそういった環境が実現できたら、コロナ禍など関係なく、「オンラインのたまり場」が当たり前になっていくかもしれませんね。

歳原:コロナ禍は、あくまでひとつのきっかけにすぎないと思っています。たしかにユーザー数は伸びましたが、緊急事態宣言が明けたからといって減ってはいません。たとえば中学生や高校生は門限があるじゃないですか。社会人であれば仕事が終わる時間がそれぞれ違って、用事がないと会うこともない。その点、オンラインには時間や場所の制約がないのは利点だと思います。

技術進化と暮らしの変化で音声SNSの普及は加速する

―― 今後の音声関連サービスの可能性についてはどう考えていますか?

青木:一番大事なのは、仲の良い人同士でつながり続けるソーシャルグラフだと考えています。プラットフォームが変わっても、つながり自体は変わりませんよね。関係性を作り続けるのが僕らの使命だと思っています。そして、音声関連サービスにはそれをつくることができる可能性があると考えています。

 オンラインに利点があるとはいえ、もちろん、リアルだからこそ楽しいこともあると思っています。だから、どちらが良いと言いたいわけではありません。今までであれば家ではひとりですることを考えるしかなかったところで、誰かと何かをして過ごす選択肢が生まれる。オンラインの利点はそこにあります。


歳原:僕、『レディ・プレイヤー1』という映画がすごく好きなんですけど、あの世界観が理想的で。ゲームという世界に旅立って、自分のアバターを動かして通話をしながらコミュニケーションをとることができる。余談ですけど、青木が『PUBG Mobile』内で車の助手席に女性を乗せたら、すごく緊張していて(笑)。でもそういう感覚がすごいんですよ。緊張するって、リアルな体験に近いってことですよね。10年後、20年後はオンラインでそういった感覚を味わえるのも当たり前になると考えています。

青木:Podcastなどの音声メディアが流行したのはコロナ禍はあまり関係なく、どちらかと言えばAirPodsなどワイヤレスイヤホンの流行や、ノイズキャンセリングの搭載など、技術進化による普及だと思っています。以前は、電車などでニュースを聞くのは難しかったんです。ノイズキャンセリングがないとうるさくて、集中できなかったので。今はクリアに聞こえてインプットが捗りやすい。ここ3年くらいの変化ですね。

 コロナ禍で絶たれたのは「交流」であって、Clubhouseは「音声SNSだから」というよりも「気軽に交流ができる」から流行したと思っています。そう捉えると、「音声SNS」と「音声メディア」はどちらも音声関連サービスではありますが、性質が大きくことなるものだと理解しています。

―― 音声SNSの普及に大切なことはなんだと思いますか?

歳原:たとえばClubhouseは、レイテンシー(通信遅延)が少ないんですよね。Zoom飲みだと、誰かが喋ってたときに被るとうまく会話にならないことあるじゃないですか。Clubhouseはその不便さが少ない。そういった技術進化が音声SNSには非常に重要で、使いやすさに影響を与えます。「一緒に会話をしている感」のリアルさが大きく変わるので。Zoom飲みがあまり聞かれなくなってしまったのはそこも大きいと思います。

―― アフターコロナは音声関連サービスにどんな影響を与えると思いますか?

歳原:人々の生活や住環境の変化はありますよね。「コロナ禍ではなくなったけど、引き続きリモートで良いのでは?」となる企業はかなり増えると思うので、郊外や地方に居住地を移す人たちはさらに増えると思います。するとさらに気軽にリアルで会うのは難しくなるので、パラレルのようなオンライン上の交流が求められるタイミングが来るんじゃないでしょうか。

■ パラレルについて
『パラレル』は、リアルタイムに友達と通話しながら様々なコンテンツを楽しめる通話SNS。友達同士が現実世界で会って遊ぶのと同等、もしくはそれ以上の体験をオンライン上に創りあげることをミッションとしており、友達同士でパラレル上に「オンラインのたまり場」を作って日々集まり遊んでいる。2019年8月のサービスリリース以降、現在1人当たりの1日平均通話時間は3時間、月間の合計通話時間は4億分を突破して国内最大級となった。
アプリURL:https://bit.ly/35lFqTh

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