ClubhouseやSpotifyの動向から考える、プラットフォームにおける“規制”の必要性と難しさ

 音声ベースのソーシャルプラットフォームClubhouseは、まだベータ版ということもあり招待制をとっているにも関わらず、すでに世界では200万ダウンロードを記録。日本のApp Storeでは無料アプリのトップに君臨しており、日本でまだまだその人気は止まるところを知らない。

 しかし、同時にClubhouseの利用方法や昨年から浮上している問題をみていると、これらのSNSプラットフォームにおける規制やプライバシーのあり方について様々な疑問が浮かぶ。これはClubhouseだけに限らず、近年様々な表現方法を用いた媒体が増える中、ある最低ラインの規制を設けることがネット界の大きなコンセンサスとなってきている風潮がある。元々は言論の自由をモットーとして掲げていたTwitterがトランプのアカウントを永久凍結したり、Facebookが選挙の誤情報を調査したり、巨大SNSはすでに規制をすることがトレンドになりつつある。

どこまで許容するのか? Spotify独占配信に見るコンテンツモデレーション

 Spotifyは近年、問題のあるアーティストやクリエイターたちのコンテンツを積極的に宣伝しない方針を打ち出している。音楽のみならずポッドキャストツにも力を入れ始めているSpotifyでは(多くの著名人たちとの独占ポッドキャストチャンネルなど)、これらのアーティストたちとのパートナーシップが今まで以上に強固で金銭的なインセンティブを含むようになっている。しかし、海外メディアからは「Spotifyが問題のあるクリエイターたちに対して、グレーな対応ばかりを遂行している」と疑念の声が上がっている。

 複数年単位での独占配信契約となるこれらのコンテンツには、ミシェル・オバマやキム・カーダシアン、英ヘンリー王子とメーガン妃などの著名人たちが並ぶ。しかしこれらの独占コンテンツをめぐって浮上してきた問題がコンテンツモデレーションだ。

 昨年、SpotifyはUFC公式コメンテーターのジョー・ローガンによる人気ポッドキャスト「ジョーローガン・エクスペリエンス」とライセンス契約を結んだ。先日配信された3時間のエピソードにおいて、ローガンは様々なプラットフォームでアクセス禁止となっている陰謀論者Alex Jonesをゲストに招いた。ローガンはこれらの陰謀論に対し、中立的な立場を保ちながら会話を進めた。ローガンが何度か事実確認に走ったということがあったにせよ、結果的には陰謀論と誤情報をそのままユーザーに配信する結果となった。

 これを受けてSpotify CEOのDaniel Ekは「どんな著名人であろうと私たちはこれらのコンテンツに平等に自社の規制基準を当てはめており、どのコンテンツが公開されるか審査しています。しかし同時にクリエイターたちのプラットフォームであることは忘れてはいけないので、これらの規制の適用には慎重になる必要があります」と話している。Spotifyは音楽に関しても性犯罪で逮捕されたラッパーR.ケリーの音楽コンテンツの配信を巡っての「積極的に宣伝はしないがコンテンツは残す」という行動からもわかるように、自身のプラットフォームにおける規制についてはあまり強気ではない。今回のジョー・ローガンの件からも考えさせられるのは、「規制の基準」が著名人の権力を基軸に作成されている間は、プラットフォームをみんなのために安全な場所にしていくことは難しいということだ。

誰がコンテンツモデレーションを強化するのか?

 Twitterは先日、Birdwatchというコミュニティベースの誤情報防止プログラムをローンチした。Birdwatchはユーザーたちに誤情報だと思われるツイートに対して、注釈を加えていく仕組みだ。同時にこれらの注釈の有用性をユーザー同士で評価し、コメントできる仕組みも組み込まれている。まだ試験段階にある今プログラムは、人々により信頼できる情報を提供するプラットフォームとなるべく始まった、Twitterの新しい試みだ。現在の段階ではプログラムに応募した小規模ユーザーたちが、Birdwatch用に特設されたサイトでの記録となっている。

  Twitterは今後の大きな展望として、このプログラムをアプリ内に組み込んでいくことが挙げられる。しかし、このプログラムはTwitter自体がどのような情報が誤情報であるのか」というはっきりした基準を示したガイドラインを持たなければならない。これらの判断基準はとても主観的なものにある傾向があり、基準を設けることが、逆効果になるかもしれないという懸念も挙がっている。Clubhouseも同時にユーザー(モデレーター)たちにガイドラインについて解説するチャットルームやモデレートガイドなどを提供しているが、ユーザーの自治には限度がある。