世界最小スマホ『Jelly』を生み出した企業が、“変わり種スマホ”をつくり続ける理由
魅力あふれる変わり種スマホたち
それでは、これまで発売されたスマホを時系列順に見ていこう。
『Jelly』『Jelly Pro』は、彼らの最初の製品であり、世界最小クラスのスマホとして発売された記念すべき1台だ。自社製品を発売する前に関わっていたとされる、アメリカの電子機器ブランド・Posh mobileの『Micro X S240』がベースになっている。こちらも同じく世界最小クラスのスマホとして当時話題を集めた。
『Atom』は、優れた堅牢性を持つ小型スマホとして発売された。カシオの『G'zOne』、京セラの『TORQUE』シリーズを彷彿とさせるデザインが特徴的だ。『Jelly』のサイズ感を受け継ぎながら、防水・防塵、指紋・顔認証を搭載し、より実用的な1台になった。
『Titan』は、個性的なデザインで話題になった物理キーボード付きスマホだ。ゴツゴツした見た目、スクエアの画面、303gの重量。完全にマニア向けの仕様ながら、Blackberry以外の選択肢が少ない物理キーボード付きスマホ市場に希望を与えた1台といえる。
『Atom L』『Atom XL』は、2020年前半に『Atom』の後継機として発売された。従来機からの最大の変更点は、2.45インチから4インチに進化した画面にある。『Atom』の純粋な後継機ではないが、タフネススマホの少ない現在の市場において一定の評価を得た。
最後に紹介するのは、2021年1月時点で最新のスマホとなる『Jelly 2』だ。「Unihertz」を一躍有名にした『Jelly』の後継機として登場する。「FeliCa」を搭載した日本版も用意されており、国内での注目度も高い。今後、小型スマホの定番になるかもしれない1台だ。
さらなる変わり種スマホの登場に期待
「Unihertz」は、スマホに多様な選択肢を与える存在だ。変わり種スマホ中心のラインアップながら、新製品は毎回目標金額に達している。こうした需要の存在は、スマホ市場に大きな影響を与えているといえるだろう。
大手企業は利益の観点から、変わり種スマホを作るのは難しい。そこで「Unihertz」のようなブランドが、率先して販売し反響を得ることで、大手企業でも変わり種スマホが発売される可能性が高まる。
近年、『Rakuten Mini』や『Palm Phone』など、小型を売りにしたスマホが増えてきた。また物理キーボードでお馴染みのBlackberryも、製造元との契約が終了したが、2021年には他の製造会社から新作が登場する予定だ。こうした動きにも『Titan』の登場が関係しているのかもしれない。
もちろん、彼らの影響で市場が変わっていると断言できるわけではない。しかし多様な選択肢の登場は、私たちユーザーにとって喜ばしい出来事といえる。
今後「Unihertz」は、どんなスマホを発表するのか。現在のスマホ市場に影響を与える、さらなる変わり種スマホの登場に期待したい。
■菊池リョータ
個性派スマホを愛するライター。ガジェット系を中心に記事を執筆。デザイン性の高いスマホに目がない。