アフリカでテクノロジーを活用したコロナ対策が成功 好例から考える“政府がDXすることの重要性”
世界中に蔓延している新型コロナウイルスは、発展途上国などの日常生活のインフラの基盤が整っていない場所でも猛威を振るっている。
そんな中、アフリカのトーゴ共和国は、大統領の側近である「デジタル経済&デジタルトランスフォメーション大臣」Cina Lawsonによる経済政策やテクノロジー政策を重用し、新型コロナの社会的弱者や貧困層への影響を最小限に食い止めることに成功した。
アフリカのテクノロジーの現状
近年、毎年50%増という速さで急成長しているアフリカのテック業界は「ネクストシリコンバレー」と言われるくらい、大きな可能性を秘めていると注目を集めている。これは他の国々に比べてテック企業が大々的に展開してないことや、人口の大きさと発展余地から予測される成長率だ。物理的なファイバーなどのインフラは、都市部や教育・医療機関限定であったりとアクセスが限られているが、その他の衛星などを利用したネットワークサービスは、そのモビリティと簡単なアクセスから広範囲で活用されている。
アフリカで最初にモバイル決済を導入したケニアでは現在、主要のモバイル決済登録者数が3200万人を記録しており、人口の60%がモバイル決済にアクセス可能だ。この環境が、新型コロナウイルスが全世界に広がり始めた3月末に大活躍することなった。
デジタル送金プログラムを通した「政府給付金支給」
今回の新型コロナの打撃を一番に受けたのが、貧困層の労働者たちだ。トーゴ共和国では人口の半分が1日1.9ドル以下の日銭で暮らしており、多くの国民たちは非正規労働者と呼ばれる日雇いの労働を主な収入源としている。
しかし、今回の新型コロナの影響で特に肉体労働や縫製産業などがダメージを受け自粛などから収入源を失い、飢餓の危機にあるという事態に陥った。トーゴ共和国のデジタル経済&デジタルトランスフォメーション大臣のCina Lawsonは、一刻でも早くこの事態を食い止めるため新しいシステムの開発に迫られ、「Novissi」と呼ばれるデジタル送金プログラムを発表した。
4月頭、政府はラジオの緊急事態宣言を通してコロナ給付金対策番号を発表し、番号宛にSMSを送りいくつかの質問に答えることで、非正規労働者の身元と職を確認し、給付金を直接携帯番号に送るという流れをとった。男性は月20ドル、女性は23ドルを二週間に分けて支給し、すでにこのプログラムを通して大人の労働人口15%の60万人に給付金を支給済みだ。今回のデジタル送金プログラムは政府にとっての初の試みだが、この成功例を通して、今後さらに生活に困窮している国民たちの支援に活用していきたいと話している。